サイエンス

スマホの夜間モードは睡眠の質向上に全く貢献していないことが判明


デジタル端末を夜間に使うと睡眠の質が低下することが知られており、iOSに搭載された「Night Shift」や、Androidに搭載されている「夜間モード」などの画面を暖色系の色に変更する機能を用いることで睡眠の質の低下を抑えられると考えられてきました。しかし、167人の被験者を対象にした研究の結果、iOSのNight Shiftが睡眠に影響を及ぼさないことが明らかになっています。

Does iPhone night shift mitigate negative effects of smartphone use on sleep outcomes in emerging adults? - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2352721821000607


Is Night Shift really helping you sleep better?
https://news.byu.edu/intellect/is-night-shift-really-helping-you-sleep-better

Night Shiftは2016年3月に公開された「iOS 9.3」で追加された機能で、指定した時間になると自動的に画面表示色を暖色系に変更することができます。記事作成時点で最新バージョンとなる「iOS 14.5.1」では、Night Shiftの設定画面には「夜よく眠るのに役立つ可能性があります」と記されていました。


ブリガムヤング大学の研究チームは、Night Shiftが睡眠に及ぼす影響を確かめるべく、18~24歳の167人の被験者を「就寝前にiPhoneを使わないグループ」「就寝前にNight Shiftを無効にしたiPhoneを使うグループ」「就寝前にNight Shiftを有効にしたiPhoneを使うグループ」の3グループに分け、被験者の腕に加速度計を取り付けて「睡眠時間」「睡眠の質」「入眠中の覚醒」「入眠にかかった時間」を調査しました。

調査の結果、3つのグループの睡眠で有意な差は確認されなかったとのこと。そこで、研究チームは被験者を「平均7時間以上の睡眠を取ったグループ」と「平均6時間以下の睡眠を取ったグループ」に分けて分析。その結果、「平均6時間以下の睡眠を取ったグループ」では有意な差が見られなかったものの、「平均7時間以上の睡眠を取ったグループ」ではNight Shiftの有効・無効にかかわらず、iPhoneを使ったグループの睡眠の質がiPhoneを使わなかったグループよりも悪くなることが判明しました。


これらの結果から、研究チームは「Night Shiftによって減少するブルーライトだけでなく、画面のスクロールやテキストの表示・投稿といった操作による心理的影響も睡眠へ影響を与えている」と考えています。

また、研究チームの一員であるチャド・ジェンセン氏は「あなたが非常に疲れている場合は睡眠圧が非常に大きくなるので、寝る直前の行動に関係なく眠りにつくことができます」と述べています。

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in モバイル,   サイエンス, Posted by log1o_hf

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