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「Googleポッドキャスト」が差別主義者の温床になっているという指摘


ポッドキャスト」は、インターネットを通じて音楽や音声などを配信するサービスで、いわゆるインターネットラジオの一種です。数あるポッドキャストサービスの中でも、「Googleポッドキャスト」が特に差別主義者の温床になっているとして、アメリカ大手紙のThe New York Timesが非難しています。

On Google Podcasts, a Buffet of Hate - The New York Times
https://www.nytimes.com/2021/03/25/arts/google-podcasts-extremism.html

2020年アメリカ大統領選挙や2021年1月に発生したアメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件を契機に、TwitterやFacebookなどのSNS大手はヘイトスピーチや暴力を扇動する投稿に対する制限を強化しています。

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The New York Timesが紙上で非難したのは、「SNSから排斥された差別主義者にとって、Googleポッドキャストが受け皿になっている」という現状です。同紙によると、直近の調査では、白人至上主義者と親ナチスグループの番組が20個以上もGoogleポッドキャスト上で配信されており、誹謗中傷や陰謀論の温床になっていると判明したとのこと。こうした現象はGoogleポッドキャスト特有のもので、同種のサービスを展開しているAppleポッドキャストやSpotify、Stitcherでは、差別主義的な配信は確認できなかったそうです。

The New York TimesはGoogleのサービスの中でもGoogleポッドキャストが特殊な位置づけになっていると指摘し、その例としてヘイトスピーチなどを繰り返し行ったとしてAppleポッドキャスト、Spotify、Stitcherから削除された「Infowars」という配信を挙げています。Googleは「Infowars」のYouTubeチャンネルとGoogle Playストア上のアプリを削除したものの、Googleポッドキャストの配信は削除していません。これについてGoogleの広報担当者は、「削除は主にサービス利用地域の法に基づいて行っており、めったに行いません」と回答し、近年の規制強化の風潮とは異なる姿勢を示しています。


インターネットやテクノロジー、知的財産に関する問題について法律サービスを提供しているハーバード大学のCyberlaw Clinicに所属するジェシカ・フィヨルド氏は「安全と尊重のためにコンテンツに制限を課すよりも、不快なコンテンツを望む聴衆を受け入れようとしている」と述べ、フェイクニュースや過激派グループの温床とされ、2021年1月のアメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件を促進したとされているSNSサービス「Parler」とGoogleポッドキャストを同列に置きました。

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Googleポッドキャストに関するGoogleの姿勢の根拠になっているのが、Googleポッドキャストのコンテンツポリシーです。Googleポッドキャストは「Googleのサーバーで配信をホストする」という形式ではなく、「よそのサーバーでホストされている配信を、Googleポッドキャストを通して視聴できる」という形式のサービスです。そのため、GoogleはGoogleポッドキャストが「配信を検索する」というGoogle検索に近い存在だと位置づけており、「Googleポッドキャストから配信を削除する」というのは、「Google検索の検索結果からウェブページを除外する」のと同等だと述べています。Google検索の検索結果から除外されるというのは、法的な制限によって除外されるというケースがほとんどです。

The New York Timesはアメリカ人だけでも8000万人が週に1度以上ポッドキャストを利用しているという調査結果を挙げてポッドキャスト市場の拡大を指摘しつつ、ヘイトスピーチなどに対する厳格なポリシーを設けているStitcherとGoogleポッドキャストを対比して、「ポッドキャストの健全性は表現の自由と安全性のバランスを見つけることにかかっている」と結んでいます。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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