オフィスが寒いと太ってしまう可能性がある
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって外出を控えるように推奨された結果、運動不足な人の割合が増加しており、「コロナ太り」という言葉も生まれています。こうした体重の問題について、物理的要因と代謝の関係について研究するニューヨーク州立大学ビンガムトン校臨床科学工学研究所のケネス・マクロード所長が、「長時間涼しい環境にいると体重が増える可能性がある」という研究結果について解説しています。
Going back to the office? The colder temperature could lead to weight gain
https://theconversation.com/going-back-to-the-office-the-colder-temperature-could-lead-to-weight-gain-158604
マクロード所長によると、環境温度が体重に影響を与えるのは、人体の中核温(内臓などの中心部の体温)と代謝率が関係していることが原因です。人間は恒温動物であるため、平時ではセ氏36.1度~38.3度の範囲に中核温が保たれていますが、この温度を保つ機能に代謝活動が関わっています。しかし、近年の研究では、代謝活動は中核温から多大な影響を受けることが判明しているとのこと。
近年の研究では、「中核温がセ氏0.56度下がるごとに代謝率が7%以上低下しうる」と示されており、平時の上限と下限である38.3度と36.1度という中核温では、およそ30%という代謝率の差があるとのこと。30~49歳かつ体重50kgの女性の基礎代謝は1日約1050kcalなので、30%という代謝率の差は運動の有無よりも大きな差を生む可能性があります。
以下が、華氏70度(セ氏21.1度)のオフィスで働く女性の、中核温(Core Body Temperature)と年齢(Age)の関係を示したグラフ。16歳では華氏99~101度(セ氏37.2~38.3度)の範囲に中核温が保たれていますが、年齢が高くなるにつれて中核温は低下し、38歳では華氏93度(セ氏33.8度)近くなるケースも複数確認されています。このような状態では、代謝に大きな影響が出ていると考えられるわけです。
さらに、寒いと新陳代謝が悪くなるため、免疫応答の効率が低下したり、心臓が損傷したり、2型糖尿病を発症したりするリスクが高まるとのこと。マクロード所長は自分にとって暑すぎず寒すぎない、セ氏22度~27度の環境で働くように推奨しています。
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