瞬間接着剤やUSBなどの世界を変えた「モノとモノをつなげる技術」5選
マーケティングツール開発企業OutfunnelのCEOを務めるアンドラス・パーデ氏が、瞬間接着剤やUSBなどの世界を変えた「モノとモノをつなげる5つの技術」について解説しています。
Keep On Connecting: 5 Connectors That Changed The World - Outfunnel
https://outfunnel.com/connectors-that-changed-the-world/
◆ベルクロ(面ファスナー)
子ども向けの靴や財布などに使われているベルクロは、1940年代にスイスのエンジニアであるジョルジュ・デ・メストラル氏によって開発されました。
メストラル氏は、愛犬と共にアルプス山脈での登山を楽しんでいる時に、愛犬に野生のゴボウの実が張り付いていることに気付きました。メストラル氏がゴボウの実を持ち帰って詳しく観察した結果、ゴボウの実の外皮がフックのような形状をしていることを発見。メストラル氏は、このゴボウの実の形状を参考にベルクロを開発し、いくつかのメーカーへベルクロの技術を売り込みました。しばらくの間、ベルクロは大きな売上を上げることができませんでしたが、NASAによって「宇宙船内で物体を安全に保持する技術」として採用されたことにより一躍有名になりました。
現在では、ベルクロは子ども向けの靴やファッション性の高い服など、さまざまな場面で用いられています。
◆瞬間接着剤
瞬間接着剤として知られる「シアノアクリレート」は、1940年代にグッドリッチ・コーポレーションによって銃の照準器の開発中に偶然発明されました。パーデ氏は「瞬間接着剤は、他の多くの発明と同じように、第二次世界大戦中の軍事開発競争の中で偶然発明されました」と述べています。
1950年代には、コダックがシアノアクリレートの「あらゆる物質と接着する」という特徴に着目し、世界初の瞬間接着剤「イーストマン#910」を開発しました。その後、コダックはシアノアクリレートのライセンスを世界中の企業に販売し、現在では、アロンアルフアやSuper Glueなどの瞬間接着剤が世界中で使われています。
パーデ氏は「瞬間接着剤は何百万人もの人々の生活を助けていますが、あらゆるものを接着できるという特徴は厄介でもあります。瞬間接着剤が透明な液体であることは、人々が目薬と瞬間接着剤を取り違えるという事故を引き起こしかねません」と述べています。
接着剤を目薬と間違えて点眼しコンタクトレンズが目に張り付く事故が発生 - GIGAZINE
◆自動連結器
アメリカでは、開発初期の鉄道の車両連結器として「ピン・リンク式連結器」が用いられていました。パーデ氏によると、ピン・リンク式連結器の操作方法は複雑で、作業員の訓練に長い時間を要したとのこと。また、作業員にケガを負わせる事故が多発したことから、安全で容易に操作できる連結器の開発が求められていました。
1800年代後半には、現在でも用いられている「自動連結器」が開発されました。自動連結器は連結器同士を接触させると自動で連結され、解放てこを動かすだけで連結を解除できるため、鉄道業界で広く受け入れられました。
パーデ氏は、自動連結器の画期的な点はその機構だけでなく、「世界中で通用する標準化された『第五輪システム』を構築したこと」にあると指摘。第五輪システムによって型式の異なる車両や運行地域の異なる車両同士の連結が可能になったことから、世界中に広がる輸送網が構築されるようになりました。
パーデ氏は「第五輪システムやコンテナのような世界中で使える規格が登場したことで、自動車・コンピューター・服といった日用品を世界中へ輸送できるようになりました」と、標準化されたシステムの重要さ強調しています。
◆USB
USBが開発される以前は、コンピューターの周辺機器は多様なコネクタで接続されていました。そのため、ユーザーは新たな周辺機器を導入する度に、コンピューターへ新たな種類の挿入口を増設する必要がありました。また、パーデ氏によると、当時のコネクタはデータ転送速度が遅く、ストレージの大容量化に対応できていなかったとのこと。
そんなコンピューターにおけるコネクタ事情を解決するべく、MicrosoftやIBM、Intel、NECなどの企業によって1994年に開発された接続規格がUSBです。USBは従来の接続方式を大きく上回る転送速度を実現し、Windows 98で正式にサポートされたことを切っ掛けに急速に普及しました。
しかし、コネクタの形状を統一することを目標に開発されたUSBですが、開発から20年以上が経過した2021年ではコネクタの形状が多岐にわたっています。このことについて、パーデ氏は「技術の進歩により、USBの転送速度は非常に高速化しました。しかし、ユーザーには混乱を生み出しています。90年代に私たちが求めた理想には到達できていません」と述べています。
◆API
APIは、Application Programming Interfaceの略語で、ソフトウェア間で機能の呼び出しを行う際に扱うパラメーターの種類や名称などを指定する役割を持っています。
2000年には、Salesforceによって世界初のWeb APIが公開されました。パーデ氏はSalesforceによるAPIの公開を「インターネットが静的なモノから動的なモノへと変革した」と評価しています。
その後、写真共有サービスFlickrのAPIなど、人々の生活を便利にするAPIが続々と発表されました。パーデ氏は「現在、私たちが使用するほとんどのデジタル製品は、何らかのAPIに基づいて設計されています。Uberなどのアプリで使われる地図には、Google Maps APIが使われています。また、天気予報アプリにはYahoo Weather APIが使われています」と語り、APIは日常に欠かせないモノであると主張しています。
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