「人工甘味料は砂糖よりベター?」を専門家8人に聞いてみた


世界では年間18万人が糖分を含む飲み物の過剰摂取で死亡している」という調査結果がある一方で、人工甘味料にも「耐糖能異常を引き起こして糖尿病を引き起こす可能性がある」との指摘があり、甘みを求めるときには砂糖・人工甘味料のどちらを使えばいいのかはハッキリとわからない状態です。そこで、科学者によるファクトチェックを行うサイトであるMetafactが、8人の専門家に「人工甘味料は砂糖よりマシなのか?」との質問をぶつけて、その回答をまとめました。

Are artificial sweeteners better for you than sugar? - Metafact
https://metafact.io/factchecks/1000-are-artificial-sweeteners-better-for-you-than-sugar

◆1:シドニー大学のジェニー・ブランド・ミラー氏「人工甘味料の方がいいかは疑わしい」
オーストラリア・シドニー大学で糖尿病や肥満についての研究をしているブランド・ミラー氏は、「50年ほど前に人工甘味料が登場した当時、人工甘味料はカロリーのある砂糖の替わりになり、減量や体重の維持を容易にしてくれると考えられていましたが、そうはなりませんでした」と指摘。半世紀の間にアメリカの肥満が3倍になったことを念頭に、人工甘味料は公衆衛生上の解決策としては成功しなかったと結論付けました。

◆2:ウーロンゴン大学のギデオン・マイヤーウィッツ・カッツ氏「ほぼ間違いなく人工甘味料の方がいい」
オーストラリアのウーロンゴン大学で疫学や糖尿病の研究をしているマイヤーウィッツ・カッツ氏は、「人工甘味料の摂取量が多い人は、少ない人に比べて健康状態が悪いことが示唆されていますが、甘味料の健康への影響が砂糖より悪いと指摘することもできません。少なくとも水よりは健康に悪いと言えそうですが、『少なくとも砂糖に比べればまだ人工甘味料の方がマシ』だという意見が大勢を占めているようです」とコメントしました。


◆3:ケンタッキー大学のシャミル・ソフティック氏「おそらく人工甘味料の方がいい」
アメリカ・ケンタッキー大学の消化器内科で肥満症の問題に取り組んでいるソフティック氏も、人工甘味料には望ましくない影響もあるとした上で、「砂糖入り飲料から人工甘味料入り飲料に切り替えるのが、体重を管理する上で有効だということを示すエビデンスが続々と出てきています」と述べました。

◆4:カーネギー研究所のスティーブン・ファーバー氏「人工甘味料の方がいいかは著しく疑わしい」
アメリカのカーネギー研究所で生理学・細胞生物学を研究しているファーバー氏は、人工甘味料と健康についての論文を横断的に分析した2017年の研究を引用し、「ランダム化比較試験(RCT)から得られたエビデンスは、体重管理上の人工甘味料のメリットを支持しておらず、また観察から得られたデータは人工甘味料の日常的な摂取はBMIや心血管代謝疾患リスクの増加と関連しているという可能性が示唆されています」と述べて、少なくとも人工甘味料は健康によくないとの見方を示しました。

◆5:エクセター大学のティム・フレイリング氏「おそらく人工甘味料の方がいい」
イギリス・エクセター大学で糖尿病の専門家を務めるフレイリング氏は「砂糖も人工甘味料もそれほど悪いものではないため、『人工甘味料は摂取カロリーを減らす役に立ちますか?』という質問の方が適切でしょう」とした上で、「子どもを対象としたRCTでは、人工甘味料がカロリー摂取を減らすことを示すエビデンスがいくつか得られています。つまり、子どもが飲む甘い飲み物をカロリーフリーに置き換えると、BMIの増加が抑えられるということです」と回答しました。


◆6:シドニー大学のボブ・ボークス氏「おそらく人工甘味料の方がいい」
オーストラリア・シドニー大学で神経科学や栄養学を研究しているボークス氏は、砂糖について「糖分の多い飲み物を毎日たくさん飲むなど、糖分を大量に摂取すると肝臓などに脂肪が蓄積したり、2型糖尿病のリスクが高まったりするなど、メタボリックシンドロームと呼ばれる不健康な状態になることが分かっています」と指摘。また、人工甘味料については「人工甘味料の中でアスパルテームだけが、ごく一部の人の健康に良くないとわかっています。アスパルテームを避けた方がいいという特別な体質を持つ人には、このことがよく知られています」と話しました。

◆7:シドニー大学のキーロン・ルーニー氏「ほぼ間違いなく人工甘味料の方がいい」
ルーニー氏も「砂糖から人工甘味料に置き換えた場合の糖代謝、体重維持、糖尿病リスクに関連する代謝反応のみに焦点を当てると、人工甘味料が砂糖よりも優れているというエビデンスは明らかです。ただし、疫学的に見ると必ずしも同じ結論には至りません。他の食品と人工甘味料を一緒に摂取すると、エネルギーの吸収が変化するような相互作用があることを示唆する興味深いデータがあるので、それが結果の不一致の原因かもしれません」と述べて、研究分野によって結論が異なることを指摘しました。

その上で、ルーニー氏は「エネルギーのバランスの観点からすると、人工甘味料は確かに砂糖よりはマシだと思います。過剰摂取に関する懸念もあるようですが、大食いをするための免罪符にせず、健康的な食生活の中で多少摂取する分には問題ないでしょう」とまとめました。

◆8:ノース・ウェスト大学のコーネリー・ニーナバー・ルーソウ氏「回答は保留」
南アフリカのノース・ウェスト大学で栄養学を研究しているニーナバー・ルーソウ氏は、「砂糖入り飲料がメタボリックシンドロームや2型糖尿病のリスクに影響を与える」と2013年の研究で示されている一方で、「人工甘味料と体重増加の間にも関連性がある」という報告もあることを指摘。「これまでのエビデンスを踏まえると、私は天然の砂糖と人工甘味料の両方を減らすことをお勧めします。単に砂糖を人工甘味料に置き換えるというのはよくありません」と述べて、どちらがマシかという結論を控えました。

8人の専門家の回答を総合すると、肯定的な回答をしたのは5人で否定的な回答をしたのは2人、明確な回答を控えたのが1人で「63%の専門家が人工甘味料は砂糖よりはマシだと考えている」という結果になりました。

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in サイエンス,   , Posted by log1l_ks

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