NVIDIAが自動運転車向けの次世代SoC「DRIVE Atlan」を発表、演算性能は1000TOPSで「車載データセンター」級
NVIDIAが20201年4月13日に開催したオンライン技術カンファレンス「GTC 2021」で、1000TOPSの性能を実現する自動運転車向けの次世代AI対応システムオンチップ(SoC)「DRIVE Atlan」を発表しました。DRIVE Atlanは記事作成時点で実用化されている自動運転車向けSoCの33倍の演算能力を持っており、NVIDIAは2025年の実用化を目指しています。
NVIDIA Unveils DRIVE Atlan Autonomous Vehicle Platform | NVIDIA Blog
https://blogs.nvidia.com/blog/2021/04/12/nvidia-drive-atlan-autonomous-vehicle-platform/
NVIDIA、次世代の自律走行車に向けて「車載データセンター」、NVIDIA DRIVE Atlanを発表|NVIDIAのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000199.000012662.html
Nvidia debuts Drive Atlan system-on-chip for autonomous vehicles | VentureBeat
https://venturebeat.com/2021/04/12/nvidia-debuts-drive-atlan-system-on-chip-for-autonomous-vehicles/
DRIVE Atlanは自動運転車向けに特化したSoCで、NVIDIAの次世代GPUアーキテクチャ、ArmベースのCPUコア、ディープラーニングおよびコンピュータービジョンアクセラレータのほか、自動運転車の自律走行に求められる複雑なコンピューティングおよびAIワークロードをサポートするため、データ処理ユニット(DPU)であるBlueFieldを、NVIDIA製SoCとして初めて搭載しています。
DRIVE Atlanの演算能力については、記事作成時点で量産車やトラックに搭載されているDRIVE AGX Xavierが最高30TOPS(毎秒30兆回の演算性能)、DRIVE AGX Orinが最高254TOPSだったのに対して、DRIVE Atlanは最高1000TOPSになるとのこと。また、NVIDIAはDRIVEN Atlanを「ソフトウェアデファインドの車両を構築するために十分なコンピューティング機能を提供する車載データセンター」と表現しています。
ただし、DRIVE Atlanはまだ開発中であり、2025年モデル以降での搭載を目指しているとのこと。DRIVE Atlanはハードウェアとしては一から設計されていますが、DRIVE AGX XavierやDRIVE AGX Orinと同様にCUDA環境およびTensorRT APIとライブラリを介して開発が可能なので、これまでの技術投資がそのまま活用できるそうです。
またNVIDIAは、DRIVE AGX Orinと12台の外部カメラ、3台の内部カメラ、9台のレーダーと1台のLIDARセンサーを組み合わせてレベル4の自動運転を実現する第8世代自動運転プラットフォーム「Hyperion」も発表。
第8世代Hyperionは自動運転のための周囲のモニタリングのほか、車の速度表示や空調などのUI、音楽や映像を流すマルチメディア機能、車内にいる乗員の顔認識などをすべてDRIVE AGX Orinで制御するシステムになっています。NVIDIAによれば第8世代Hyperionは2021年後半にリリースされる予定で、基調講演では2020年6月にNVIDIAとパートナーシップを組んだメルセデス・ベンツのコンセプトカーCGモデルがプレゼンテーションに使われていました。
さらにNVIDIAは、スウェーデンの自動車メーカーであるボルボとのパートナーシップを拡大し、将来的にボルボ車にDRIVE AGX Orinを搭載することを発表しました。最初にDRIVE AGX Orinが搭載されるのは2022年に発表される予定のXC90で、ボルボの子会社であるZenseactが開発したソフトウェアと、ステアリング・ブレーキのバックアップシステムと組み合わされ、「特定条件下における完全自動運転」を可能にするレベル4の自動運転を実現するとのことです。
NVIDIAのジェンスン・ファンCEOは「輸送業界は、数十年にわたって頼ることのできるコンピューティングプラットフォームを必要としています。ソフトウェアへの投資は巨額になっており、車両1台ごとに投資を繰り返すのは不可能な状況です。NVIDIA DRIVEは、最先端のAIとAVコンピューティングプラットフォームであり、豊富で、包括的なソフトウェアと開発者のエコシステムにより、数世代にわたってアーキテクチャ上の互換性を維持することができます。本日、NVIDIAはそのロードマップを新たなレベルに発展させると発表しました。新しいDRIVE Atlanは、真の意味で驚異的なテクノロジであり、NVIDIAの強みであるAI、自動車、ロボティクス、安全性およびBlueFieldによるセキュアなデータセンターのすべてを融合することで、安全で、自律的な車両群を生み出すことが可能になります」とコメントしています。
なお、ジェンスン・ファンCEOによる基調講演は以下から視聴可能で、1時間35分21秒辺りから自動運転についての講演が始まります。
GTC 2021 Keynote with NVIDIA CEO Jensen Huang - YouTube
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