サイエンス

宇宙から地球に毎年5000トン以上もの微小な隕石が降り注いでいる


宇宙から地球上に飛来する天体の中には、巨大な爆発により多数の重軽傷者を出した重さ570kgの隕石もあれば、サイズが1mmの数分の1以下しかない微小隕石もあります。10年以上にわたり、南極に積もった雪から微小隕石を採集した研究により、宇宙から地球上に降り注ぐ微小隕石は年間5200トンに及ぶことが分かりました。

The micrometeorite flux at Dome C (Antarctica), monitoring the accretion of extraterrestrial dust on Earth - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0012821X21000534

5,200 Tons of Extraterrestrial Dust Rain Down on Earth Every Single Year
https://www.sciencealert.com/5-200-tons-of-micrometeorites-are-raining-down-on-earth-s-surface-every-year

More than 5,000 tons of extraterrestrial dust fall to Earth each year
https://phys.org/news/2021-04-tons-extraterrestrial-fall-earth-year.html

フランス国立科学研究センター(CNRS)で微小隕石の研究をしているジャン・ドゥプラ氏らの研究チームは、南極大陸にあるコンコルディア基地付近で合計6回にわたる遠征を実施し、ドームCと呼ばれる南極氷床から微小隕石のサンプルを収集しました。ドームCは積雪量が少なく、地球上で発生する土砂などもほとんどないため、宇宙から降り注ぐ微小隕石を見つけるのにはうってつけの場所とのこと。


2001・2002年・2005・2006年・2015年・2016年の6回に分けて行われた遠征で、研究チームは質量が350マイクログラム未満の宇宙スフェルール(溶解した宇宙の岩石)を808個と……


溶解していない微小隕石1280個、合計2088個を発見しました。


そして、研究チームが回収したサンプルの量から地球全体での降下量を計算したところ、約3600トンの宇宙スフェルールと1600トンの微小隕石、合計5200トンが毎年地球に降り注いでいるという結果が得られました。これは、年間降下量が10トン未満しかないと見積もられている通常の隕石を大きく上回っており、地球上に飛来する地球外物質としては最多とのことです。

研究チームはまた、回収したサンプルの分析結果から、地球上に飛来している宇宙塵の80%は彗星が放出したものだと推測しました。これは、以前の研究で算出された、地球上に飛来している彗星由来の物質の量に関する推測値と合致しています。

一方、研究チームは別の試算により「大気圏に突入する前の宇宙塵の総量は年間約1万5000トン」もあると考えています。地球上に降り注いでいる微小隕石がその3分の1しかない理由は明らかではありませんが、「大気圏突入前に宇宙塵が除去されている」「地球周辺の宇宙空間に存在する宇宙塵が想定より少ない」「かなりの割合の宇宙塵が検出からすり抜けている」のどれかだと推測されているとのこと。この3つの説のうちどれが正しいのかが分かれば、初期の地球に生命の誕生に必要な水や炭素分子がどのようにして運ばれてきたのかが解明されると、研究チームは期待しています。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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