「潜在能力を引き出す水」として売られていた飲料水が急性肝不全を引き起こす
マイナスイオンを含み、健康に役立つとアピールされている飲料水「リアルウォーター(REAL WATER)」を飲んだ子どもたちが、急性肝不全を患う事態がアメリカのネバダ州で発生しました。
Investigation of Acute Non-viral Hepatitis Illnesses – “Real Water” Brand Alkaline Water (March 2021) | FDA
https://www.fda.gov/food/outbreaks-foodborne-illness/investigation-acute-non-viral-hepatitis-illnesses-real-water-brand-alkaline-water-march-2021
Acute Non-viral Hepatitis Illness linked to “Real Water” Brand Alkaline Water – Southern Nevada Health District
https://www.southernnevadahealthdistrict.org/news-release/acute-non-viral-hepatitis-illness-linked-to-real-water-brand-alkaline-water/
リアルウォーターの開発企業であるReal Water社によると、リアルウォーターは「独自技術を利用して、他の水と比べて長期間アルカリ性を保つことに成功したpH9.0のアルカリ性飲用水」とのこと。さらに、同社のウェブサイトでは、リアルウォーターを飲むと「体のバランスを取り戻し、潜在能力を最大限に引き出せる」とアピールされています。なお、日本の飲料水の基準pHは5.8以上8.6以下と定められており、リアルウォーターはこの数値を上回っています。
このリアルウォーターが販売されていたネバダ州の保健当局によると、2020年11月に5人の子どもが入院を必要とする非ウイルス性の急性肝不全を患ったとのこと。さらに、同時期に大人3人および子ども3人から吐き気・食欲不振・倦怠(けんたい)感などの症状が報告されました。これらの人々は全員が「リアルウォーターを飲んでいた」という点で共通していました。
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、「消費者・レストラン・小売業者は、急性肝不全の原因についての情報が判明するまで、リアルウォーターの飲用・調理・販売を中止してください」と、リアルウォーターを飲用しないように求めています。
医療系メディアのHealthlineによると、「アルカリ性の水を飲むと、健康になる」といった内容の言説が一部の人々に信じられているとのこと。しかし、血液中にアルカリ性の物質が多くなると胃腸の問題や皮膚の炎症を引き起こす可能性があるため、Healthlineはアルカリ性の高い水の飲用を控えるように推奨しています。
Real Water社のブレント・ジョーンズ社長はCBSに対して、「私たちはFDAと連携して迅速な解決を目指しています」とコメント。記事作成時点では、リアルウォーターの販売を中止し、リコールを行っています。
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