無料の音声編集ソフト「Audacity」のバージョン3.0.0がリリース
無料かつLinux・macOS・Windowsなどの複数のOSで使えるオープンソースの音声編集ソフトウェア「Audacity」のメジャーアップデートとなるバージョン3.0.0がリリースされました。
Audacity 3.0.0 Released | Audacity
https://www.audacityteam.org/audacity-3-0-0-released/
◆.aup3フォーマットの採用
Audacityのひとつ前のメジャーアップデートはAudacity 2.4.2で、この次のメジャーアップデートがAudacity 3.0.0となります。Audacity 3.0.0の最大の特徴はプロジェクトの保存形式が変更された点です。これまではプロジェクトを複数の小さなファイルとして保存し、ロットを調整するために「.aup」ファイルを使用していましたが、これは「ファイルの山」と呼ばれることもありユーザーからは不評だったそうです。
特に頻出した問題は、データファイルと「.aup」ファイルが別々で保存されてしまう点でした。それに対して、ユーザーは「.aup」ファイルにプロジェクト全体が含まれることを期待していた模様。Audacity 3.0.0では「.aup3」というファイルフォーマットを採用することで、データファイルと「.aup」ファイルをひとつにまとめて保存できるようにしています。技術的な詳細としては、オープンソースデータベースのSQLite3を採用することで、「.aup3」を実現しています。
Audacity公式は「SQLite3はオープンソースであり、一緒に作業するのは楽しいことです。ただし、Audacityにとっては大きな変更であり、同時に複数の変更を含めるにはリスクが高すぎると判断したため、Audacity 3.0.0はほぼ完全にこのフォーマットの変更に関するものとなります」と記し、Audacity 3.0.0での変更はファイルフォーマットの変更に焦点が当てられているとしました。
「.aup3」の採用により、編集した音声データのファイルがこれまでよりもコンパクトになるため、ほとんどの端末でオーディオ編集がこれまでよりも高速で行えるようになるとのこと。ただし、プロジェクトを閉じる際には必要な作業がこれまでよりも多くなるため、プロジェクトの終了にかかる時間がこれまでよりも長くなる可能性があります。なお、この点についてAudacity公式は「ファイル数の減少とプロジェクト終了にかかる時間はトレードオフの関係となりますが、それだけの価値のあるアップデートになっていると思います」と記しています。
また、古い「.aup」ファイルはAudacity 3.0.0でも開くことが可能で、Audacity 3.0.0で保存しなおすことで新しい「.aup3」ファイルとして保存可能となります。
◆追加された新機能
ノイズゲートの効果を改善し、音と無音にラベル付けができる新しいアナライザー「ラベルサウンド」が追加されました。他にもいくつかの小さな調整が行われており、マクロをインポートおよびエクスポートできるようになったり、ショートカットを指定可能となったりしています。さらに、Audacityで最後に使用したツールまたは最後に使用したアナライザーを使用するための新しいコマンドも追加されました。
◆バグの修正
長年にわたって蓄積されてきた160件を超えるバグが修正されました。バグの大部分は小さな修正で解決できたそうですが、いくつかのバグは非常に優先度の高いもので、影響を受ける人々にとっては非常に重大な問題となっていたとのことです。
なお、Audacity 3.0.0は以下のページからダウンロードできます。
Download | Audacity
https://www.audacityteam.org/download/
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