セキュリティ

「最も極端なインターネット監視法」とされるイギリスの調査権限法が執行に備えた試験を開始


2016年、イギリスで警察や情報機関が電子メールやインターネットの閲覧履歴にアクセスできるようになる調査権限法が施行されました。これに対し、国内から「通信の秘密が侵される危険性がある」として批判の声が上がっているにもかかわらず、イギリス政府は調査権限法を基に通信の監視を試験的に行い始めています。

Two UK Broadband ISPs Trial New Internet Snooping System - ISPreview UK
https://www.ispreview.co.uk/index.php/2021/03/two-uk-broadband-isps-trial-new-internet-snooping-system.html

調査権限法により、イギリス政府はインターネットサービスプロバイダ(ISP)などに対し、過去12カ月間にわたるユーザーのウェブ閲覧履歴などの保存を義務づけることができます。イギリス内務省国家犯罪対策庁(NCA)はこの法律をスムーズに執行できるよう、名前が伏せられた2つのISPを用いてテストを行っているとのこと。調査権限法を監督する独立機関である調査権限法委員会事務局(IPCO)は2019年の時点で、既に2回テストが行われたことを報告しています。

調査権限法に従ってISPが保存したデータは、裁判所が令状を発行した上での調査が可能とのこと。データには接続者のIPアドレスや接続したドメインなどが含まれているとされていますが、内務省は具体的にどのようなデータを取得し、どのように使用するのかという問いには回答を拒否しています。

NCAはテストを実施するための基礎となる技術システムの構築などに少なくとも13万ポンド(約2000万円)を費やしたと発表していますが、仮にこの法律が全国的に展開された場合、システム構築などが民間のISPの金銭的負担になるおそれがあるとも指摘されています。


調査権限法は法案提出時から、Appleなどによる否定意見が述べられていました。元アメリカ国家安全保障局(NSA)の職員であり、NSAによる国際的監視網を告発した実績を持つエドワード・スノーデン氏は調査権限法を「西側の民主主義の歴史の中で最も行き過ぎた監視法だ」とツイートし、批判しています。

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in セキュリティ, Posted by log1p_kr

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