サイエンス

沿岸地域において海面上昇がもたらす影響は想定の4倍以上だという指摘


気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、過去20年間の世界平均海面水位の上昇値は1年あたり2.6mmであり、2100年までに海面は1.1メートル上昇するとの予測を打ち出しています。しかし一部の科学者は、沿岸部はもっと深刻な問題を抱えていると警鐘を鳴らしています。

A global analysis of subsidence, relative sea-level change and coastal flood exposure | Nature Climate Change
https://www.nature.com/articles/s41558-021-00993-z

Sea level rise up to four times global average for coastal communities - UEA
https://www.uea.ac.uk/news/-/article/sea-level-rise-up-to-four-times-global-average-for-coastal-communities

Sea-Level Rise Affects Coastal Areas 4 Times Faster Than We Thought. Here's Why
https://www.sciencealert.com/sea-level-rise-at-the-coast-is-happening-up-to-4-times-faster-than-we-thought

イギリスの気候研究機関、ティンダルセンターの所長を務めるロバート・ニコルズ氏らが行った研究により、地盤沈下と海面上昇が重なった結果、沿岸部の過去20年間の海面水位は年平均7.8mm~9.9mm上昇したということが明らかになりました。これは沿岸部を含めた世界各地の上昇値のおよそ4倍であり、ニコルズ氏らは早急な対策が必要だと警告しています。


また、ニコルズ氏らは気候に起因する海面変動、土地の隆起または沈下を引き起こす氷河の増減、地盤沈下などを分析し、人口あたりの加重平均値を測定して各地域の危険度を割り出しました。

その結果、沿岸部に住む人々のわずか1%未満のみが地面が隆起している土地に住んでおり、約58%が土地が沈下している三角州に住んでいることが明らかになりました。また、20世紀のうちに東京が4mの地盤沈下を経験し、上海、バンコク、ニューオーリンズ、ジャカルタが2m~3mの地盤沈下を経験していたことも分かっています。

ニコルズ氏らは地盤沈下の原因は、地下水のくみ上げや、石油やガス、土砂の採掘などにあると分析しています。東京、上海、バンコクは、地下水のくみ上げを減少させたことで地盤沈下が大幅に低下していますが、ニューオーリンズとジャカルタ、その他の都市では地盤沈下を防ぐための直接的な取り組みは行われていないとニコルズ氏らは述べています。


ニコルズ氏は「沿岸部の状況を正確に分析するには、海面水位だけでなく沈下する土地と組み合わせた測定が重要だ」と述べています。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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