サイエンス

タコは足だけで光を感知することができると判明

by ▓▒░ TORLEY ░▒▓

タコは非常に高度な知能を有していることが知られており、特にその足は「それぞれが独立したCPUを持つ分散型ネットワーク」だという研究結果もあるほど、非常に発達したものだということが判明しています。そんなタコの足について、イスラエルのルッピンアカデミックセンターのタル・ショムラット氏らが「タコは足だけで光を感知することができる」との研究結果を新たに発表し、タコの足が特殊な感知能力をも有していることを示しました。

Feel the light: sight-independent negative phototactic response in octopus arms | Journal of Experimental Biology
https://jeb.biologists.org/content/224/5/jeb237529

Octopuses can feel light with their arms | Live Science
https://www.livescience.com/octopus-sees-light-with-arms.html

タコの足が光に反応するという事実は、以前から知られているものでした。タコの皮膚は色素胞と呼ばれる色素細胞で覆われており、この細胞が光などの周囲の刺激に反応することなどで、タコは自身の体色を変化させます。

ショムラット氏らはもともとこの色素胞についての研究を行っていましたが、タコの体色変化を引き起こすため足に懐中電灯の強い光を当てたにもかかわらず、タコが体色変化をしてくれないことがたびたびありました。こうして実験のために何度も懐中電灯の光を当てていたショムラット氏でしたが、あるとき「タコは光を当てられるたびに高確率で足を引っ込める」という点に気がつきます。そこでショムラット氏らは「タコの足が光にどのように反応するか」という研究に切り替えることにしました。

こうしてスタートした新しい研究で、ショムラット氏らはタコを不透明な黒い防水シートで覆われた水槽に入れ、上部に開けられた小さい穴から足だけを出して魚のかけらを見つけられるようにタコを訓練。そしてタコが足だけでエサを探している間、ランダムなタイミングで足に強い光を当てました。


研究の結果、タコは光が当てられたタイミングのうちおよそ84%で足を引っ込めたとのこと。さらにショムラット氏らは「光による熱に反応しているのでは?」という疑問を抱いて温度変化をチェックしたものの、変化はみられなかったことから、タコの足は純粋に光だけに反応していると結論づけました。

ショムラット氏らは次のステップとして、この反応がどのように引き起こされているのかを追究しました。まずタコの足のさまざまな部分を照らし、足の先端の部分が最も敏感に反応するという事実を突き止めます。


次にタコに麻酔をかけて光に反応するか試したところ、色素胞は反応したものの、足を引っ込める動作は行われなかったとのこと。また足の付け根の筋肉を切断して試したところ、同様に足は動きませんでした。これらの実験の結果から、ショムラット氏らは「足自体が光を感知し、筋肉の神経を介して脳に信号が伝達され、脳から信号が送られることで足が動く」と結論付けています。

ショムラット氏らはこの反応について、「タコが捕食者から足を守るための方法として獲得したのではないか」と推測しており、こういった進化の目的を深く追究していくと述べています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1p_kr

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