長寿を実現する野菜・果物の摂取量は結局のところどのくらいなのか?
野菜や果物は健康にいい食べ物の代名詞となっていますが、どれぐらいの量を摂取すれば健康にいい影響を与えるのかという点については議論があります。そこで研究者が新たに、過去に行われた合計200万人のデータを含む複数の研究を分析し、「最も死亡リスクを低下させる野菜・果物の摂取量」を割り出しました。
Fruit and Vegetable Intake and Mortality: Results From 2 Prospective Cohort Studies of US Men and Women and a Meta-Analysis of 26 Cohort Studies | Circulation
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.048996
The right '5-a-day' mix is 2 fruit and 3 vegetable servings for longer life -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2021/03/210301084519.htm
野菜や果物を1日にどれくらい摂取すればいいのかという推奨量は団体や組織によって差があり、例えばアメリカ心臓協会は野菜・果物の両方を1日4~5食ずつ食べることを推奨しています。
アメリカ心臓協会は「Serving(サービング)」という単位で果物・野菜の推奨摂取量を示しており、このServingという単位は「~食」と訳されます。また5食分の野菜の例として、アメリカ心臓協会は「生の葉物野菜1カップ」「カット野菜2分の1カップ」「調理した豆2分の1カップ」「100%野菜ジュース4分の1カップ」と記しています。
Suggested Servings from Each Food Group | American Heart Association
https://www.heart.org/en/healthy-living/healthy-eating/eat-smart/nutrition-basics/suggested-servings-from-each-food-group
しかし、推奨量が団体・組織によって異なると、消費者は「何をどのように摂取すればいいのか」という点で混乱しがちだということで、ハーバード大学医学部とブリガム・アンド・ウイメンズ病院の疫学者・栄養学者であるDong D. Wang氏が率いる研究チームは、数百万人分のデータから、人の死亡リスクを最も低くする野菜・果物の摂取量を割り出しました。
この研究は主に看護師の健康調査と健康専門家のフォローアップ研究という2つの大規模研究のデータを基にしており、データに含まれる被験者は10万人以上、追跡期間は最大30年に及びます。また研究者は野菜と果物の摂取と死亡リスクについて調査した、世界29カ国・被験者190万人に及ぶ合計26の過去研究についても統合分析を行ったとのこと。
合計すると200万人以上の被験者を対象としたデータ分析から判明したことは、以下の通り。
・野菜と果物を合計5食分食べることは死亡リスクを最低にすることと関連しているが、5食以上食べることと死亡リスク低下との関連は見られない
・最も長寿と関連するのは「果物2食分」と「野菜3食分」を摂取すること
・野菜と果物を合計2食分摂取する人に比べて、5食分摂取する人は「全ての死因」において死亡リスクが13%少なくなる。死因で分けると、心血管系疾患の場合は12%減、がんが10%減、呼吸器疾患の場合は35%減だった。
・全ての野菜と果物が同様の影響をもたらすのではなく、豆やコーン、じゃがいも、フルーツジュースなどに死亡率低下との関連性は見られなかった。
・一方でほうれん草やレタス、ケールといった葉物野菜や、ベータカロチン、ビタミンCなどが豊富な野菜、果物は有益性が認められた。
この結果から、Wang氏は果物2食分・野菜3食分で合計「5食分」の野菜と果物が、最適な摂取レベルであると主張。「この量が、一般的に達成可能なレベルで、かつ主要な慢性疾患の予防に最も有益であるといえます」「また現状の推奨はフルーツジュースや野菜、デンプン食品を同様に扱っていますが、全ての野菜と果物が同じように有益であるわけではないこともわかりました」とWang氏は述べました。
一方で、今回の研究は観察研究であり、果物と野菜の摂取量と死亡リスクの関連性を示すものの、因果関係を示すものとまではいえないという点について、注意が促されています。
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