MDMAやLSD、マジックマッシュルームなどを合法化する法案がカリフォルニア州で提出される
現地時間2021年2月18日、カリフォルニア州上院のスコット・ウィーナー議員がMDMAやLSD、マジックマッシュルームなどの幻覚剤を合法化し、薬物使用のための枠組みを勧告する専門委員会を設置する法案を提出しました。
Statement: California State Legislator Introduces Bill to Decriminalize Psychedelics - MAPS
https://maps.org/news/media/8885-statement-california-state-legislator-introduces-bill-to-decriminalize-psychedelics
California bill would decriminalize psychedelics, paving the way for medical treatment | California | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2021/feb/17/california-bill-decriminalize-psychedelic-drugs
新たに提出された法案が対象としているのは、MDMAやLSD、DMT、マジックマッシュルームの有効成分であるシロシビンやシロシン、熱帯雨林の植物イボガから抽出されるイボガインなどです。ネイティブアメリカンが神聖視しているサボテンのペヨーテや、その有効成分であるメスカリンはペヨーテが絶滅危惧種であるという観点から例外として扱われています。
同法案は対象とされた幻覚剤の所持・個人使用を合法化するだけでなく、これらの幻覚剤を個人使用・所持したという犯罪歴も抹消。さらに精神障害の治療に用いられる幻覚剤の使用法を監督する規制委員会を設置することも定めています。
近年アメリカでは幻覚剤に関する合法化や罰則緩和が急速に進んでおり、今回の法案もこうした流れに倣ったものとのこと。オレゴン州は2020年11月に州単位としては初となるシロシビンの合法化を行い、ニュージャージー州は2021年2月に1オンス(約28グラム)以下のシロシビンの所持が3~5年の実刑から6カ月未満の実刑ないし1000ドル(約10万5000円)の罰金刑に緩和しています。
幻覚剤の合法化や罰則緩和の流れは、幻覚剤にうつ病緩和などの医療上のメリットがあるという点や、1970年代にリチャード・ニクソン大統領が「麻薬は社会の最大の敵である」と宣言して大々的に行った麻薬撲滅政策が効果を上げなかったという点が背景にあるとされています。
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ウィーナー上院議員は「麻薬を所持・個人使用したというだけで刑務所に入れられるべきではありません」「これは健康上の問題であって、刑事上の問題ではないんです。人々がそうした認識を得てくれることを望んでいます」とコメントしています。
イギリス大手紙のThe Guardianは、はPTSDで苦しむ元海兵隊員が医療用幻覚剤の使用によって復調したというエピソードを紹介して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行によって精神的不調に苦しむアメリカ人が急増している現況を、幻覚剤の合法化が改善するかもしれないと報じています。
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