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アメリカの麻薬問題の根源は闇市場であり、むしろ麻薬を合法化すべきという見解

By Images Money

アメリカにおける麻薬・覚醒剤などの違法薬物の市場規模は600億ドル(約6兆2000億円)以上と言われており、違法薬物の取り締まりは歴代政権の最重要課題とされてきました。しかし、「アメリカの違法薬物問題は薬物の有害性にあるのではなく、薬物を闇で取引するブラックマーケットの存在にある」という見解が主張されています。

America Has a Black-Market Problem, Not a Drug Problem - Conor Friedersdorf - The Atlantic
http://www.theatlantic.com/politics/archive/2014/03/america-has-a-black-market-problem-not-a-drug-problem/284447/

ジョン・ケリー国務長官は、違法薬物の取り締まりに必要なリソースが足りていないという報告を上院軍事委員会で行いました。それによると、コロンビアからアメリカに流入する麻薬のうち取り締まりによって阻止できるのは全体の20%に過ぎず、残りの80%はアメリカ国内に入ってきているのが現状で、より有効な取り締まりを行うためには、取引に使われる小型ボートを追跡・捕獲できるヘリを配備できる沿岸警備艇が16隻必要であるとケリー国務長官は訴えました。


しかし、The Atlanticのコナー・フライダースドーフ氏は、このケリー国務長官によるさらなる予算の要求を批判しています。フライダースドーフ氏は、何年にもわたって毎年数十億ドル(数千億円)という巨額の費用を費やしても成果を上げられていないのに、さらなる費用の投入にいらだちを隠せないとのこと。

ケリー国務長官は国境を越える犯罪組織との麻薬戦争を複数の理由から国家保安上の問題と位置づけているところ、フライダースドーフ氏は、麻薬戦争の問題はアメリカ国内に存在する巨大なブラックマーケットが根本的な原因であり、この解決なくして問題は解消しないと反論しています。そして、ブラックマーケットをなくすためには麻薬などの合法化が有効な手であると主張しています。

By sirenytta

ケリー国務長官の「犯罪ネットワークの広がりは、民主主義制度の整合性をおとしめ、パートナー諸国との関係を悪化させる」との主張に対しては、「そもそも闇市場が莫大な利益を上げられないようになれば薬物ネットワークは確実に縮小する」と、根源である闇市場撲滅に取り組むべきだと反論しています。また、「薬物の違法な取引は、アメリカの公衆衛生・安全・国境警備に直接的な脅威を与える」という主張に対しても、闇市場がなくなれば麻薬密輸業者に流れるお金が減り、密輸自体が減るとしています。

フライダースドーフ氏は、麻薬などの薬物を合法化すれば薬物を乱用したり中毒になったりする人が出ることはあるものの、麻薬を密売するギャング組織によって奪われる人命は確実に減るだろうと話し、仮に麻薬が合法化されれば、少ないリソースを取り締まりに割く必要もないと述べています。

フライダースドーフ氏のような麻薬合法化論者は、麻薬が法律で禁止される限り闇市場に巨大な利益が集まるのは必然的であるとして、禁酒法を見直しアルコールを解禁した過去の歴史にならって、麻薬を合法化した上でしっかり管理する方が、社会全体で見た場合に利益が大きいという見解を採っています。

By Gina Smith

麻薬を徹底的に禁止する方が良いのか、合法化する方が良いのかは簡単な問題ではありませんが、2014年1月からコロラド州でマリファナが合法化されるなど、州レベルでは合法化へ舵を切る試みがなされており、麻薬合法化の是非を問う上でも試金石となりそうです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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