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100万円以上を支払って「ネット回線が遅すぎる」と新聞広告で訴えたおじいさんの家に光ファイバーが引かれる


2021年2月、アメリカのロサンゼルス市に住む90歳の男性が、大手経済新聞のウォール・ストリート・ジャーナルに「AT&Tのインターネット回線があまりにも遅すぎる」という新聞広告を出しました。この広告が話題になった直後、AT&Tが男性宅の回線のアップグレード工事を行い、回線速度が100倍近くに改善されたと報じられています。

AT&T scrambles to install fiber for 90-year-old after his viral WSJ ad | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2021/02/90-year-old-gets-att-300mbps-fiber-a-week-after-complaining-in-wsj-print-ad/


ロサンゼルス市・ノースハリウッドに住む90歳のアーロン・エプスタインさんは、自身が住む地域が光ファイバーではなく非常に速度の遅いデジタル加入者線(DSL)の使用を強いられていることに不満を持っていました。そこでエプスタインさんはウォール・ストリート・ジャーナルに新聞広告を掲載し、AT&Tのジョン・スタンキーCEOにネット回線の遅さを訴えることにしたとのこと。

実際にエプスタインさんがウォール・ストリート・ジャーナルに掲載した新聞広告がこれ。AT&Tは電気通信業界の先頭に立っていることを誇っており、近隣地域では100Mbpsの回線速度をうたっているにもかかわらず、エプスタインさんの家ではたったの3Mbpsの回線速度しか出ないと書簡形式で訴えています。また、広告の末尾にはエプスタインさんが60年以上もAT&Tの顧客であることも記されています。

I mean how upset one must be, over slow home internet speeds, to pay for a personal quarter-page national ad in print @WSJ pic.twitter.com/Zk9umKD0t1

— Raju Narisetti (@raju)


新聞広告は紙面の4分の1を占める大きさであり、エプスタインさんは広告掲載のために1万ドル(約105万円)を支払ったとのこと。結果としてこの広告は多くの人々から注目され、テクノロジー系メディアのArs Technicaもエプスタインさんにインタビューを行いました。


広告が掲載された当日に行われたインタビューの中でエプスタインさんは、「(AT&Tの)高速インターネットサービスの宣伝が定期的に郵便で届き、TVやインターネットでも広告が定期的に表示されるため、とてもイライラしています」とコメント。時には回線速度が1.5Mbpsしか出ず、オンラインストリーミングサービスが満足に利用できないこともあるとのこと。そのため、エプスタインさんは仕方なくケーブルTVのインターネットサービスにも加入しているそうです。

エプスタインさんはこれまでにも何度かAT&Tへ電話をかけて、ノースハリウッドの自宅周辺における回線の遅さを訴えてきました。しかし、顧客サービス担当者は「会社は回線速度の改善に取り組んでいます」と回答するだけで、高速なインターネットが利用可能になる具体的な日程は教えてくれませんでした。新聞広告を出した理由について、エプスタインさんは「私が知っている唯一のルートを選んだのです。ソーシャルネットサービスで立ちあがり、自身の不満を表明する人もいると知っています」と述べています。


AT&Tは新聞広告を出した当日にエプスタインさんへ電話をかけてきたそうで、翌日にはAT&Tのエンジニアが光ファイバーの設置工事を行うと伝えに来たそうです。そして約1週間後に新たな光ファイバーの設置が完了し、最初の1年間は月額45ドル(約4700円)、その後は月額65ドル(約6800円)で高速インターネットが利用できるようになりました。工事が行われた後、エプスタインさんの自宅回線はダウンロード速度が363Mbps、アップロード速度が376Mbpsを記録したとのことで、以前の3Mbpsから100倍以上も速度が向上する結果となりました。

また、AT&TのスタンキーCEOも直接エプスタインさんに電話をかけてきて、スタッフから渡された切り抜きで新聞広告を見たと語ったそうです。AT&Tの広報担当者によると、エプスタインさんの自宅近くまで光ファイバーを延ばしたものの、周囲の住宅にはケーブルが延長されていないとのこと。「私たちは近隣での仕事を完了するために可能な限り迅速に取り組んでいます」と、広報担当者はArs Technicaに回答しました。

AT&Tの工事担当者はエプスタインさんに対し、「今すぐ光ファイバーを全ての家に設置するには法外なコストがかかります」と説明したとのこと。これについてエプスタインさんは、AT&Tが2018年にワーナーメディアを買収してメディアや映画事業に参入したことを指摘。AT&Tは他の事業に手を出すのではなく、通信事業のために投資するべきだと述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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