メモ

どのような仕事に従事する労働者が「ワーカホリック」になりやすいのか?


世の中には私生活を犠牲にして仕事に打ち込む仕事中毒(ワーカホリック)と呼ばれる人もいますが、仕事のしすぎはうつ病・不安・睡眠障害といった多くの精神的・肉体的健康への悪影響が懸念されています。国際的な研究チームがワーカホリックと健康への影響について調査したところ、どのような仕事に従事する労働者においてワーカホリックのリスクが高いのかが判明しました。

Exploring the Link between Work Addiction Risk and Health-Related Outcomes Using Job-Demand-Control Model
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7593928/

Workaholism Leads to Mental and Physical Health Problems: Work Addiction Risk Depends on Occupation — HSE University
https://www.hse.ru/en/news/research/433782660.html


ワーカホリックの人たちは労働時間の多さで他の人々と区別されますが、経済的に困窮しており長時間働かざるを得ない場合や、組織または上司による圧力で長時間労働を強いられている場合はワーカホリックと見なされません。公衆衛生的には「長時間の仕事が必要なく、他の人が期待していないときも過度に仕事をしてしまう」場合に、ワーカホリックだと見なされるとのこと。

研究チームはフランスの労働者187人を対象にアンケートを実施し、それぞれの被験者がどんな仕事に従事しているのか、どれほど仕事中毒のリスクが高いのか、どういった精神・健康面での影響が出ているのかを調査しました。


研究チームは労働者の仕事について、スウェーデンの学者であるロバート・カラセック氏が提唱した「カラセックの職場ストレスモデル(カラセック・モデル)」を基に分析しました。カラセック氏は職場におけるストレスを、仕事に必要とされる集中度や緊張を表す「仕事の要求度」、そして仕事における裁量や自律性を表す「仕事の裁量度」という2つの軸から分析し、仕事を4つのタイプに分類しています。カラセック・モデルで示される仕事のモデルは以下の通り。

・受動的な仕事
仕事の裁量度が低く、仕事の要求も低い仕事。労働者が設定された目標に達すれば、それで満足できる可能性が高い。

・低緊張の仕事
仕事の裁量度が高く、仕事の要求が低い仕事。一般的に創造的な仕事であるケースが多く、メンタルヘルスへの影響が少ないとされている。

・積極的な仕事
仕事の裁量度が高く、仕事の要求も高い仕事。労働者は企業の幹部や重要ポジションの専門家などを務め、高い責任と高度なスキルを持っている。非常に厳しい仕事をしているものの、問題解決における意思決定の自由度が高い。

・高緊張の仕事
仕事の裁量度が低く、仕事の要求が高い仕事。労働者は救急部門の医療従事者など、自分で作業の負荷を制御することができない状況にあり、ストレスが大きいとされている。

アンケートには、「仕事の要求」「仕事の裁量度」「受けられる社会的支援」といったカラセック・モデルに基づく質問や、ワーカホリックになる可能性の高さを測定する質問、不安および抑うつの症状に関する質問、年齢・性別・教育レベル・家族構成・身体活動・睡眠の量などの社会人口統計的な点についての質問が含まれていたとのこと。


アンケート結果を分析したところ、ワーカホリックのリスクが低いと判断された被験者は全体の45.5%、リスクが中程度なのは32.6%、高リスクなのは21.9%でした。ワーカホリックのリスクと仕事の要求や裁量度の関連を調査した結果、「仕事の要求が高いほどワーカホリックのリスクが高くなる一方、仕事の裁量度はワーカホリックのリスクと関係がない」ということも判明したとのこと。

仕事の要求が高い労働者は、仕事の要求が低い労働者と比較して5倍もワーカホリックになりやすく、うつ病リスクが危険なレベルに達している割合も、ワーカホリックのリスクが高い労働者の方が2倍も多かったそうです。また、睡眠の質や幸福度、職場でのストレスもワーカホリックのリスクが高い労働者の方が悪かったことから、ワーカホリックは心身に大きな負荷をかけていることが確認されました。

研究に携わったロシア国立研究大学経済高等学院Morteza Charkhabi助教授は、「この研究における目新しさの一つは、危険な職業グループを組織や雇用者に知らせることでした」とコメント。ワーカホリックのリスクが高い特定の職業を見つけることで、健康状態に悪影響を与える前に介入することができると語っています。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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