バイデン大統領が政府所有車両60万台を「アメリカ製の電気自動車に置き換える」と公約
by jlhervàs
2021年1月20日に就任したバイデン大統領が、連邦政府が保有しているトラックや乗用車などの民間車両約60万台すべてを「アメリカ製の電気自動車に置き換える」と新たに発表しました。
Biden vows to electrify the federal government’s 600,000-vehicle fleet | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2021/01/biden-vows-to-electrify-the-federal-governments-600000-vehicle-fleet/
2019年において連邦政府が保有している民間車両はおよそ60万台超。そのうちガソリン車とディーゼル車の占める割合は63%と大半を占めており、ガソリンとメタノールなど1種類以上の燃料を混合させて走行するフレックス燃料車は31%、ハイブリッドカーはわずか4%。電気自動車に至っては0.5%未満という状況でした。
2021年1月26日、バイデン大統領はアメリカの製造業強化に関する記者会見を行い、「連邦政府が所有する車両をアメリカ製のクリーンな電気自動車に置き換える予定です」と発表。「Buy American(アメリカ製を買おう)」イニシアチブを掲げました。
President Biden Delivers Remarks on Strengthening American Manufacturing & Signs an Executive Order - YouTube
ハイブリッドカーや電気自動車は温室効果ガスの排出量が少ない反面、割高であるという問題があります。2019年にアメリカ会計検査院が実施した(PDFファイル)調査によると、通常のセダンに比べてハイブリッド式のセダンは1台あたり5200ドル(約54万円)、プラグインハイブリッドカーは8700~1万5300ドル(90万~160万円)もコストがかかるとのこと。加えて、電気自動車はこれよりさらに8900ドル(92万円)も追加コストがかかるそうです。
こうしたコストの問題もありますが、バラク・オバマ政権は「プラグインハイブリッド車ないしはゼロエミッション車を購入する割合を2020年までに20%、2025年までに50%にする」という大統領命令に署名していました。しかし、トランプ政権下でこの大統領命令は撤回され、撤回以降は環境に優しいフレックス燃料車・ハイブリッドカー・電気自動車などの割合は減少し続けてきました。
バイデン政権の新たな試みはオバマ政権時代の試みを引き継ぐものだとみられています。IT系ニュースサイトArs Technicaによると、2025年頃には電気自動車のコストはガソリン車とほぼ同等になるという専門家の予測もあるとのこと。バイデン政権は所有車両の「完全電化」までのタイムラインを発表していませんが、順当に行ったとしても10年以上かかるとみられています。
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