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「中等症の新型コロナウイルス感染症」から回復した71歳の男性がつづった闘病記録が公開される

by Pickens

2020年11月から12月下旬までの約1カ月間、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかって闘病を続けた71歳の男性が、COVID-19を発症してから無事回復するまでの間に体験した事柄や気持ちの変化をまとめた闘病記録をインターネット上で公開しました。その体験記を読むと、入院せずに回復した「中等症」のCOVID-19が人間の心身にどんな影響をもたらすのかを、克明に知ることができます。

Covid Survivor - Researchandideas
http://researchandideas.com/index.php?title=Covid_Survivor

記事作成時点で71歳のヒュー・ピケンズ氏は、現役時代にゴダード宇宙飛行センターに勤務した経験のある物理学者です。またインターネット上では、オンライン掲示板のSlashdotに1400件を超える記事を投稿してきた熱心なSlashdotユーザーとしても知られています

以下は、COVID-19と診断される直前のピッケンズ氏の写真です。

by Pickens

そんなピッケンズ氏の体に異変が起きたのは、2020年11月24日のこと。自分の体温・体重・血圧・血中酸素濃度を毎日測定して記録しているピッケンズ氏はこの日、38度の熱が出ていることに気付きました。当時は深刻に考えていなかったピッケンズ氏ですが、翌日主治医の勧めでCOVID-19検査を受けたところ、陽性と診断されCOVID-19に感染していたことが判明しました。ピッケンズ氏は2020年3月ごろから自宅隔離を実践しており、週に1~2回マスクを付けて買出しに出かける時など以外には外出していなかったので、COVID-19に感染した具体的な日時や場所は不明で感染経路も分からないとのこと。

検査で陽性と出てから3日間は元気そのもので、体力や食欲にも変化がなかったため、ピッケンズ氏は「自分はひょっとすると無症状性の感染者かもしれない」と思い始めました。しかし、4日目の朝になると容体は急変し、ベッドから起き上がることができなくなりました。また、食欲も完全に失せてしまったピッケンズ氏は、この時から回復するまでの約1カ月間、ほぼゼリーしか口にしませんでした。一部のCOVID-19患者に見られる「嗅覚や味覚の喪失」は経験しなかったというピッケンズ氏は、「単に食べ物に魅力を感じず、何か固形物を食べたいとも思いませんでした」と述懐しています。


それからの3週間、ピッケンズ氏は1日に20回も排尿のためにトイレに行く以外はずっとベッドで寝て過ごしました。特に飲み物を大量に飲むようなことはしていないため、一体なぜそんなに尿が出るのかは分かりませんが、とにかく頻繁にトイレに行かなければならなかったそうです。また、起きている間はしきりにせきや痰(たん)が出ましたが、特に身体的な不快感や痛みは感じなかったとのこと。

しかし、食欲がなくゼリーしか食べられなかったので、体重は25ポンド(約11.3kg)も落ちてしまいました。さらに、ちょっと体を動かしただけで息切れするようになったほか、COVID-19と直接的な関係はないと診断されたものの、歯茎から大量に出血する症状などにも悩まされました。

以下は、COVID-19と診断されてから3日後(左)と3週間後(右)のピッケンズ氏の写真です。

by Pickens

また、ピッケンズ氏は身体的な症状だけでなく幻覚や悪夢も体験しました。起きている間に、20年前に亡くした父親や3年前に亡くした妻の声が聞こえるのは「もう2人とも亡くなってしまっている」と知っていたため、特に怖くはなかったとピッケンズ氏はコメント。しかし、物心ついてからこれまでの人生で会った人々が、夜な夜な悪夢に出てきてはピッケンズ氏を責めるのには、非常に苦しまされたとのことです。

その後ピッケンズ氏は、発症から4週間が過ぎたころから症状が回復しはじめ、6週間後には医師から「もうCOVID-19には感染していない」と診断されました。こうしてCOVID-19から生還し、記念にあごひげをきれいにそったというピッケンズ氏は、「COVID-19からいいものが1つ得られたとすれば、自分の人生を見つめ直す機会になったことです。私は71歳で、余生があと5年なのか10年なのかは分かりませんが、これからは毎日を人生最後の日のように生きていきたいと思います」と語りました。

by Pickens

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in メモ, Posted by log1l_ks

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