サイエンス

寒い中で運動すると「脂肪の燃焼効率が上がる」という研究結果


ダイエットのために運動することを決意したものの、あまりの寒さに「もう少し気温が上がってからにしよう」と言い訳した経験がある人もいるはず。ところが新たな研究では、「寒い中で運動すると脂肪の燃焼効率が上がる可能性がある」と判明し、むしろ寒い日ほど運動するべきかもしれないと示唆されています。

High-intensity interval exercise in the cold regulates acute and postprandial metabolism | Journal of Applied Physiology
https://journals.physiology.org/doi/abs/10.1152/japplphysiol.00384.2020

Exercising in The Cold Could Burn Off More Fat, New Research Shows
https://www.sciencealert.com/exercising-in-the-cold-could-burn-off-more-fat-new-research-shows


カナダにあるローレンティアン大学の研究チームは、短い回復期間を挟みながら高強度かつ短時間の運動を繰り返す高強度インターバルトレーニング(HIIT)による脂肪の燃焼に、「運動する際の気温」が与える影響を調査する実験を行いました。

研究チームは適度に太った20代の被験者11人を募集し、摂氏21度の「常温の環境」と、摂氏0度の「寒い環境」の両方でHIITを実施させたとのこと。今回の実験で被験者がこなしたHIITは、「1分間にわたり90%の強度でサイクリングするのを10セット、各セットの間に30%の強度で90秒サイクリングする回復期間を挟み、最後にゆっくりサイクリングするか歩くかのクールダウンを行う」というものだったそうです。

その後、間接熱量測定法で被験者の消費カロリーを、血液サンプルから血糖値や代謝物の変化などを測定し、脂肪の燃焼率を評価しました。また、被験者は一晩眠った後の朝食に高脂肪の食事を摂り、その後で再び脂肪の燃焼効率などを測定しました。


実験の結果、「寒い環境でHIITを行った場合の脂肪の燃焼率は常温の環境と比較して358%」であると判明し、寒い環境では脂肪の燃焼率が3倍以上になったと研究チームは報告しています。一方、翌朝に高脂肪の食事を摂った後の測定では、寒い環境でHIITを行ったグループと常温でHIITを行ったグループの間に大きな違いはなく、血糖値に関しては常温でトレーニングしたグループの方が良好な結果だったとのこと。

これまでにもHIITが脂肪の燃焼に役立つことは知られていましたが、周辺の気温がHIITによる脂肪の燃焼率に及ぼす影響については研究されていなかったそうです。「これは、HIIT中の急性代謝と翌日の食後代謝に対する寒い気温の影響を調査した、既知の研究として最初のものです」と研究チームは述べています。

科学系メディアのScienceAlertは、被験者の数が非常に少ない上にHIITのセッション回数も少ないことから、今回の研究結果から包括的な結論を導き出すのは時期尚早だと指摘。しかし、集中的な運動による脂肪燃焼に周辺の温度がどのように影響するのかを調査する上で、興味深い出発点になるだろうと主張しました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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