筋トレはダイエットに「めちゃくちゃ効果的」、その理由とは?
ダイエットのための運動というと、多くの人が最初に思い浮かべるのはジョギングなどの有酸素運動ですが、筋力トレーニングも減量に非常に効果的です。イギリスのリヴァプール・ジョン・ムーア大学でスポーツ科学を研究している専門家らが、筋力トレーニングが筋肉を増やすだけでなく、脂肪を効果的に減少させてくれるのは一体どんな仕組みなのか、分かりやすく解説しました。
Resistance training: here's why it's so effective for weight loss
https://theconversation.com/resistance-training-heres-why-its-so-effective-for-weight-loss-146453
リヴァプール・ジョン・ムーア大学でスポーツ科学を研究しているデビッド・R・クラーク氏、カール・ランガン・エバンス氏、ロバート・M・アースキン氏によると、筋肉は以下の2つのメカニズムにより、脂肪を減少させてくれるとのこと。
◆1:アフターバーン効果
運動をして筋肉を動かすと、筋肉が大量の酸素とエネルギーを消費するので、運動中は呼吸や心臓の鼓動が速くなります。しかし、実は運動が終わった後も、筋肉は保存されている脂肪や炭水化物を分解してエネルギーを消費し続けており、酸素の消費量も運動後しばらく増加したままになっているとのこと。この現象は、「運動後酸素過剰消費(EPOC)」もしくは、一般に「アフターバーン効果」と呼ばれています。
アフターバーン効果の程度や持続時間は、運動の種類、運動時間、強度、食事の内容などに左右されます。クラーク氏らによると、複数の大きな筋肉を使用し、疲労する一歩手前まで運動を継続させると、アフターバーン効果が高く、また長時間持続するとのこと。
特に、クラーク氏らがアフターバーン効果を最大限に発揮させるトレーニング法と位置づけているのが、不完全回復をはさみながら高強度・短時間の無酸素運動を繰り返す高強度インターバルトレーニング(HIIT)です。HIITにより筋疲労が蓄積されると、損傷した筋肉を回復させるとともに、枯渇したエネルギーを補給するため、大量の酸素とエネルギーが消費されます。これが、アフターバーン効果が余分な脂肪を減少させるメカニズムです。
◆2:安静代謝率(RMR)
筋力トレーニングは、長期的な減量にも効果的です。これは、筋肉の大きさが、何もしていない時に必要とするエネルギーの60~75%を占めている「安静代謝率(RMR)」の決定に大きな影響を与えているからです。
筋力トレーニングで筋肉が肥大化すると、RMRも増加し、それによって脂肪の消費を長期的に増加させることができます。2020年7月に発表された、過去の論文18件を横断的に精査した研究によると、筋骨格に負荷をかけることを目的とした筋力トレーニングの一種である「レジスタンストレーニング」はRMRを高めるのに有効だったのに対し、有酸素運動のみや、有酸素運動とレジスタンストレーニングの組み合わせはそれほど効果的ではなかったとのこと。
クラーク氏らが勧めるレジスタンストレーニングは、「何回繰り返すことが可能か」を基準に運動の強度を決める最大反復回数(RM)法を採用したレジスタンストレーニングです。特に、6~10回ほどで「もうこれ以上できない」と思えるような強度のトレーニングを、休憩をはさんで3~4セット、週に2回ほど各筋肉群ごとに行うことが理想的だとのこと。
クラーク氏らは、「レジスタンストレーニングは、運動後のアフターバーン効果を高め、筋肉を大きくすることで安静時に燃焼されるカロリーを増やし、脂肪を落とします。これに健康的な食事を組み合わせると、余分な体脂肪をさらに減少させることができるでしょう」と述べています。
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