Appleが中国のApp Storeからゲームアプリを削除し続けている理由とは?
AppleがApp Store上から数千本のゲームアプリを削除しているとウォール・ストリート・ジャーナルが報じました。App Store上からアプリが削除されている理由は「中国国内でのライセンスのないゲームアプリを取り締まるため」だそうで、削除されるアプリはゲームアプリ以外にもおよぶ可能性が示唆されています。
Apple’s China App Store Sheds Videogames as Beijing Tightens Internet Control - WSJ
https://www.wsj.com/articles/apples-china-app-store-sheds-games-under-pressure-11608719400
Apple continues purging games from China App Store as it enforces new licensing requirements - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2020/12/23/apple-app-store-china-games/
Appleが中国の規制に対応するためにApp Store上からゲームアプリを削除したのは今回が初めてではありません。2020年8月1日、中国の規制要件を満たしていない有料ゲームアプリや課金要素のあるゲームアプリを、中国のApp Store上から削除しました。この時に削除されたゲームアプリの本数は3万本を超えており、これは配信されているゲームアプリの90%にもおよぶ数字だったそうです。
これと同じ理由で、再び中国のApp Store上からゲームアプリが削除されています。削除に際して、Appleは2020年12月に「有料ゲームとアプリ内課金のあるゲームは12月31日までに政府のライセンス証明を提出しなければいけません」とアプリ開発者に通知した模様。
有料ゲームや課金要素のあるゲームが中国のApp Store上から削除される理由は、「アプリのリリース前にゲームのライセンスを取得しなければいけない」という中国の規制に由来しています。これまで中国のApp Storeでは「ライセンスの申請後、承認を待っている状態」としてアプリをリリースすることで、この規制要件を開発者が回避することができていたのですが、Appleはポリシーの変更によりこの抜け穴をふさいだため、アプリの削除が実施されることとなったわけです。
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ウォール・ストリート・ジャーナルによると、中国サイバースペース管理局はゲームアプリだけでなく「トリップアドバイザー」などの人気アプリの削除も要求しているとのこと。削除要請のあるアプリの数は100を超えるそうですが、政府当局は削除を求める理由について詳細に説明していない模様。
この報道に対して、Appleの広報担当者は「Appleは政府当局からの削除要求を受けるたびに慎重に調査し、しばしば異議を唱えて反対してきました。最終的な決定は我々の希望に反することもありますが、我々は中国に留まり、世界クラスのプライバシー保護を備えた自己表現を促進するアプリへのアクセスを提供することが、お客様に最善のサービスを提供することであると信じています」と語っています。
なお、ウォール・ストリート・ジャーナルは中国政府からの圧力により、Appleは中国のApp Store上から2019年に27万2000本、2020年には少なくとも9万4000本のゲームアプリを削除したと報じています。
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