GoogleとFacebookが「独占禁止法調査に備えて協力する秘密契約を結んでいた」と報じられる
2020年12月中旬にGoogleが反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとして、30人以上の州検事総長が訴訟を起こしました。訴状の草案を入手した大手紙のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が、これまで明らかになっていなかったFacebookとの談合疑惑の詳細や、反トラスト捜査を前にGoogleとFacebookが秘密裏に情報共有を行っていた疑惑について報じています。
Google, Facebook Agreed to Team Up Against Possible Antitrust Action, Draft Lawsuit Says - WSJ
https://www.wsj.com/articles/google-facebook-agreed-to-team-up-against-possible-antitrust-action-draft-lawsuit-says-11608612219
Google, Facebook reportedly agreed to work together to fight antitrust probes | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2020/12/google-facebook-reportedly-agreed-to-work-together-to-fight-antitrust-probes/
2020年12月16日に複数の州検事総長が、Googleが反トラスト法に違反しているとして集団訴訟を起こしました。しかし、公開された(PDFファイル)訴状には黒塗りの修正が多く入っており、Googleが反トラスト法に違反している根拠が不明瞭になっているという指摘がありました。
Googleがさらなる独占禁止法違反の訴訟に直面、今度はFacebookとの共謀の疑いも - GIGAZINE
by Ben Nuttall
WSJが独自に入手した訴状の草案によると、原告側はGoogleとFacebookが「広告パブリッシャーのウェブ画面とアプリ内広告枠のオークションで、両者間で入札価格を取り決め、競争入札者として市場を割り当てる」という秘密協定に2018年に署名したと主張しています。
Facebookは2017年に「ヘッダー入札」と呼ばれる新しい広告入札方法を考案しました。訴状によれば、Googleはこのヘッダー入札を競合他社として脅威に感じ、「Facebookがヘッダー入札を使わない代わりにGoogleがFacebookに対して一定の有意性を提供し、広告オークションで発生した資金の一部を提供する」という契約を結んだとのこと。
WSJによれば、訴状の最終版には両者間の具体的な契約価格が記載される予定だとのこと。また、訴状草案にはFacebookのシェリル・サンドバーグCOO(最高執行責任者)が、「FacebookがGoogleの広告に年間5億ドル(約520億円)を費やす」という契約に合意した上で、マーク・ザッカーバーグCEOに「これは戦略的に重要なことです」というメールを送信したと指摘されているとのこと。くわえて、Facebookの内部文書では、このGoogleとの合意は実際にGoogleと競合した場合に比べて「比較的安く済んでいる」と見なされていると、WSJは報じています。
さらに、原告は「Googleは広告オークションではすべての入札者が対等な立場で競争していると虚偽の公示を行っている。GoogleとFacebookは、両社の提携が反トラスト違反を引き起こす可能性があることを強く認識していた。両社は互いにどのように協力するかについて話し合い、交渉し、記録に残していた」と主張。ここからWSJは、GoogleとFacebookが反トラスト法の捜査に備えて情報共有する契約を交わしていたと報じています。
Googleの広報担当者はWSJに対して、「この疑惑は不正確なものであり、Facebookとの契約は秘密裏に行ったものではありません。また、Facebookの関与には排他的なものはなく、他の購入者が利用できないデータを受け取ったことはありません」と説明し、否定しています。また、Facebookの広報担当者も「これが競争を阻害するという主張やFacebook側の違法行為の示唆はまったく根拠がありません」と述べています。
なお、Googleに対する反トラスト訴訟の裁判は、2023年9月まで開始される予定はありません。
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