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無料プランのはずがたった1日の利用で750万円をGoogleから請求された企業が破産寸前に


ウェブサイトやアプリケーションを簡単に構築できるクラウドサービスは便利なものですが、その課金システムは非常に複雑です。通信量や利用した計算リソースに応じて課金する従量課金制のサービスもあれば、条件を満たすことで無料で利用できるサービスもあります。そんなクラウドサービスの無料プランを利用したつもりが、7万2000ドル(約750万円)を請求され倒産寸前に追い込まれたと、ベンチャー企業の創設者が当時の状況をブログに吐露しています。

We Burnt $72K testing Firebase + Cloud Run and almost went Bankrupt [Part 1] | Milkie Way
https://blog.tomilkieway.com/72k-1/

We Burnt $72K testing Firebase - Cloud Run and almost went Bankrupt [Part 2] | Milkie Way
https://blog.tomilkieway.com/72k-2/

シリコンバレーのITベンチャー「Milkie Way」の代表であるSudeep Chauhan氏は、現在地のニュースやイベントなどを確認できる「Announce」というサービスの開発を2019年11月から始めたとのこと。テスト開発はモバイルアプリケーション開発基盤の「Firebase」をデータベースとして、サーバー不要でコードを実行できる「Google Cloud Run」を利用する形で進められていました。

Google Cloudには7ドル(約730円)の予算を設定し、Firebaseは無料プランを利用していましたが、利用を始めた翌日にFirebaseから「Google Cloudのアクティビティにより、アカウントがアップグレードされた」という旨のメールが届いたとのこと。


Google Cloudの利用状況を確認すると、料金は予算上限の7ドルどころか、なんと5000ドル(52万円)に到達してることが判明。Googleから「クレジットカードの利用上限に達しているため、支払いが完了できていない」というメールも届いていました。さらに利用金額は分刻みで増加し続け、メールを確認した2時間後には7万2000ドルにまで膨れあがったそうです。


Google Cloudのプロジェクトはすべて1つのクレジットカードに紐付いていたため、Milkie Wayのプロジェクトはすべて強制終了されてしまうという事態に。チームメンバーと夜通しで何が起こったのかを調査しつつ、Chauhan氏は方々の法律事務所に「7万2000ドルを支払うことができない」と相談のメールを送ったとのこと。この時点で倒産の覚悟はできていたとChauhan氏は語っています。


Google Cloudのドキュメントを読み進めていくと、「Google Cloud Platform(GCP)は、Firebaseの料金プランを自動でアップグレードする」ことが判明したとChauhan氏は説明。さらに、課金は翌日に反映されるため、当日分の利用料金は予算を設定しても制限できないこと、Firebaseのダッシュボードも24時間遅れで更新されるため、リアルタイムに利用状況を確認できないことが明らかになったそうです。


利用料金が膨れあがった原因は、Chauhan氏のチームがCloud Runに適用したコードにあったとのこと。AnnounceのスクレイピングシステムはCloud Run上のコードを複数のインスタンスで実行するという構造でした。しかし、コードが不適切であったため、インスタンスが無数に起動し、かつそれぞれのインスタンスで無限にコードが実行されるという状況でした。


これらのインスタンスからデータベースとして利用していたFirebaseに毎秒10億回ものリクエストが送信されたため、Google CloudはFirebaseのプランを自動でアップグレード。これにより、高額な利用料金が請求されることになったとChauhan氏は説明しています。


Chauhan氏は今回の高額請求に至った原因として「不適切なコードを適用してしまったこと」「Google Runで起動するインスタンス数をデフォルトの1000のまま変更しなかったこと」「Firebaseを理解しないまま利用したこと」を列挙。なお、Googleに状況を説明した文書を送信したところ、今回限りの対応として料金請求を破棄してもらえたため、倒産を免れることができたとChauhan氏は語っています。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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