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GoogleのAI研究者が解雇された一件でサンダー・ピチャイCEOが全社員に宛てたメール全文

by FinnishGovernment

GoogleがAI研究者に対して「論文の撤回か辞任か」を求めた一件が、研究者が黒人女性であったことを含めて、大きな問題であると多方面から指摘されています。Googleは従業員からも強い非難を受け続けていることから、サンダー・ピチャイCEOは全従業員宛でメールを送信。この内容をニュースサイト・AXIOSが入手したとして報じています。

Google CEO Sundar Pichai pledges to investigate exit of top AI ethicist Timnit Gebru - Axios
https://www.axios.com/sundar-pichai-memo-timnit-gebru-exit-18b0efb0-5bc3-41e6-ac28-2956732ed78b.html

2020年12月4日、Googleが倫理的AIチームのテクニカルリーダーであるティムニット・ゲブル博士を解雇したことが報じられました。これは、ゲブル博士がGoogleのAIについて問題を指摘する論文を提出したところ、Googleが論文の撤回を求め、撤回に応じなかったゲブル博士にGoogleが辞任を求めたという流れです。

Googleが倫理的AIチームのテクニカルリーダーを解雇 - GIGAZINE


Googleの対応については社内外から多くの非難が集中。Google Researchに対しAI原則に基づいた公正な取り組みを求める公開書簡には、Google従業員や研究者など数千人が署名しました。

Googleが倫理的AIチームの研究者を解雇したことは「前例ない検閲」だとして非難集中、Google社員1200人以上が抗議文に署名 - GIGAZINE


これを受けて、Googleのサンダー・ピチャイCEOが社内宛でゲブル博士の辞任を会社が処理したことについて謝罪し、調査を行う旨のメールを送ったことが判明しました。ピチャイCEOが送ったメールの全文は以下の通り。

宛先:[email protected]


件名:人種の平等とAI倫理に関する仕事への私たちの取り組み

本文:皆さんこんにちは。

私が今年もっとも誇らしいことの1つは、会社中のGooglerたちが一丸となって人種的平等の問題に取り掛かったことです。これは困難かつ重要な仕事で、私たちはよりよい事を成し遂げるという決意を固く守っていますが、学ぶことや改善すべきことは多くあります。重要なのは、ゲブル博士が会社を離れたことのような経験から学ぶことです。

ゲブル博士が離れたことに対する反応として、明確かつ大きな声が届いています。これは、社員の一部に、Googleの平穏に疑問の種を植え付けるものとなりました。このことについて謝罪し、信頼を回復する責任が私にはあると考えています。

まず、私たちには、ゲブル博士が会社を離れるに至った状況を確認し、より細かい事情を織り込んだプロセスで物事を進めることはできなかったのか、改善するところはないかを調べる必要があります。何が起こったのかを確認して、デ・エスカレーション(段階的縮小)戦略から導入プロセスに至るまで、学習できるすべてのポイントを特定します。ジェフと私は話し合い、これらに取りかかっています。Googleのエンジニアリング文化が持つ素晴らしい側面の1つは、「間違っているのはどこであり、どうすれば改善できるか」ということを理解しようとする誠実な欲求なのです。

次に、私たちは、黒人であり女性である、計り知れない才能を持った素晴らしいリーダーがGoogleを去ったという事実を、責任を持って受け入れる必要があります。これはゲブル博士の一件を自分のこととして捉える社員に対して波及効果をもたらすでしょう。ゲブル博士は今後進歩するであろうAI倫理の重要な分野の専門家であり、この進歩は我々が自分自身に挑戦的な質問を行う能力に左右されるため、我々が進歩し続けなければならないことを強く感じました。

黒人や女性など過小評価されているGooglerたちが「自分たちは評価されていて、Googleに属している」と感じることは、私にとって信じがたいほどに重要です。そして、私たちが進歩するための負担が、社員たちの肩にかかってはならないものと考えています。今年の初めに雇用・昇進といったシステムやリーダーシップの説明責任に対する取り組みを刷新し、より広範な人種的平等への取り組みを行うと発表した時に、私たちは議論を開始しました。先週起こった、痛みを伴う、しかし重要な出来事は、私たちに「まだすべきことがある」ということを思い出させます。

これは私や、Googleを率いる人々にとって最重要課題です。私は今年見られた「エネルギーを現実の変化に変える作業」を2021年以降も続けていくと再び約束します。

サンダーより。

by Techlearn easy

ゲブル博士の一件に関しては、Google側は「辞任」とみている一方で、ゲブル博士は「実質的な解雇」だと主張していることで議論が生じています。ピチャイCEOはメールの中でゲブル博士が会社を離れたことを「痛手」だとしていますが、辞任であるか解雇にあるかには触れず、「Departure(出発/立ち去ること)」という言葉で表現しました。またゲブル博士に対するGoogleの対応について、ピチャイCEOは「間違いだった」とは言及していません。加えて、メールの中で具体的な取り組みについて言及されなかったため、AXIOSは「Googleが実際にどの程度問題の対処に取り組むかはメールからはわからない」とコメントしました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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