Googleのサービス方針は「多種多様なブラウザの開発を阻害する」との指摘
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by Neon Tommy
ウェブブラウザのシェアはGoogle Chrome、Microsoft Edge、Firefoxで4分の3を占める状況ですが、Linuxのデスクトップ環境・GNOMEのブラウザ「Epiphany」や「Eolie」、テキストベースブラウザ「Browsh」など、シェアは少ないながらも多種多様なブラウザが存在するのも事実です。そうしたブラウザの多様性がGoogleの方針によって失われる可能性があると、GNOME開発チームの一員であるMichael Catanzaro氏が指摘しています。
[webkit-dev] Starting January 4, 2021, Google will block all sign-ins to Google accounts from embedded browser frameworks
https://lists.webkit.org/pipermail/webkit-dev/2020-November/031604.html
Google Developers Blog: Guidance to developers affected by our effort to block less secure browsers and applications
https://developers.googleblog.com/2020/08/guidance-for-our-effort-to-block-less-secure-browser-and-apps.html
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Catanzaro氏が問題として取り上げているのは、Googleが2020年8月28日にアナウンスした「2021年1月4日以降、埋め込みブラウザやその他のサポートしていないブラウザからのGoogleアカウントへのログインをブロックする」という方針。Chromium Embedded Framework(CEF)といった埋め込みブラウザを利用した中間者攻撃を防ぐのが主な目的であるとGoogleは説明しています。
今回のアナウンスはプロキシサーバー経由でのアクセスやHTTPヘッダーの書き換えを禁止しているほか、「ユーザーエージェントの互換モード」を利用したアクセスも禁じているとのこと。ブロック対象のブラウザからは、GmailやGoogleドライブといったGoogleのサービスを利用できなくなる可能性があります。Catanzaro氏は「ユーザーエージェントの互換モードを利用できなくなれば、Googleのウェブサイトでブラウザの互換性を保つことができなくなる」と、Googleが示す方針の問題点を指摘しています。
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Googleがブラウザをブロックする際に「ユーザーエージェントのヘッダー」のみを判断材料とするならば、互換モードによってGoogleのブロックを回避することが可能。しかし、画面の解像度やCPUコア数といったハードウェア情報を含むFingerprint技術が組み込まれた場合は、ブロックの影響は避けられないとのこと。
GoogleのアナウンスではCEFが主なブロック対象とされていますが、Catanzaro氏はSafari以外でWebKitを利用するEpiphanyなどのブラウザや、PlayStationに搭載されているブラウザなどにも影響があると推測しています。
Catanzaro氏が最も恐れるのは「2021年1月4日にブラウザがブロックされ、ユーザーエージェントの互換モードも使えなくなる」という事態です。Googleのウェブサービスが利用できないブラウザから、ユーザーの離脱を食い止めるのは非常に困難。しかし、Googleのブロックによる影響の大小にかかわらず「2021年1月4日はブラウザの多様性に暗い影を落とす日になる」とCatanzaro氏はコメントしています。
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in ソフトウェア, ネットサービス, Posted by darkhorse_log
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