桃鉄シリーズ最新作のNintendo Switch「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」レビュー、過去作そのものなプレイ性に多数の新要素が追加された完全新作
30年以上にわたって幅広い年代の人々に楽しまれている家庭用ゲーム機向けパーティーゲームの定番「桃太郎電鉄(桃鉄)シリーズ」の最新作「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」がNintendo Switchから登場しました。「桃鉄」としては3DS版以来4年ぶり、据置型ゲーム機向けの「桃鉄」としてはWii版以来11年ぶりの最新作を、実際に遊んでみました。
桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~ 公式サイト
https://www.konami.com/games/momotetsu/teiban/
30年以上も親しまれている桃鉄シリーズは、いわゆる「すごろく」をベースにしたゲーム。プレイ開始時にはランダムで目的地が決定されて……
各プレイヤーはサイコロを振って、出目の分だけ日本の路線図を模したマスを進んでいきます。なお、本州と四国が淡路島経由で結ばれているなど、現実の鉄道路線がそのまま再現されているわけではない部分もあります。
マスには、駅名が表示された物件駅のほかに、止まるとお金がもらえるプラス駅(青マス)、反対にお金を取られるマイナス駅(赤マス)、カードがもらえるカード駅(黄マス)、カードの売買ができるカード売り場など、いろいろな種類があります。
プラス駅に止まるとこんな感じ。金額は夏に高くなり、冬に低くなるので、夏場はプラス駅に積極的に入っていくとかなり稼げます。
マイナス駅はプラス駅とは反対で、マイナス額は夏に低く、冬に高くなります。マイナス駅は集中して配置されているケースが多く、冬場にマイナス駅の中で足止めされると一気に資金を削られてしまうため注意。
カード駅は季節による変化はありませんが、いいカードが出やすい「ナイスカード駅」、もっといいカードが出やすい「スーパーカード駅」が存在します。
カードはさまざまな種類があり、サイコロの個数を増やしてくれる「のぞみカード」やどこかのマスに移動する「ぶっとびカード」などの移動系カードのほか、他のプレイヤーから好きなカードを奪い取れる「刀狩りカード」などの攻撃系カードなども存在。所持できるカードの枚数は移動系・攻撃系問わず8枚なので、単純なサイコロので目だけではなく、どのタイミングでカードを使用するか、いかに手元に残しておくかが大きく勝利を左右します。
所持している資金は、主に東京駅や京都駅などの物件駅での「物件の購入」に使います。
各駅ではその地に応じた物件を購入可能。幕張駅に行けば人気アミューズメントパークの「東京ネズミーランド」や「東京ネズミーシー」、さらにファッション通販サイトを展開している企業っぽい「スタートトゥモロウ」などを買うことができます。
こうして購入した物件に応じて、ゲームは毎年度4月から1カ月1ターンで進んでいき、3月の全員の行動が終わると「決算」となります。決算時点で所有している物件の価格と、それぞれの物件ごとに設定されている収益率から計算された収益が得られるので、翌年度はある程度まとまった資金を持って行動開始となります。高額物件の収益率が高いとは限らないので、いかにまとまった収益を確保し、それを投資していくかが社長としての腕の見せ所。
収益を上げるコツの1つは、1つの駅に物件を買い占める「独占」。独占した駅の物件から得られる収益は2倍になるので、収益率が他に劣る物件でも役に立ってくれるようになります。なお、過去作の中には、物件に対して増資を行い収益率を上げる仕組みがあったものもありますが、本作には増資はありません。
物件の中にはランダムイベントによって臨時収入を生み出してくれるものもあります。ランダムではあるものの、発生しやすい物件はある程度決まっているので、いかにこうした物件を確保するかというのもポイントです。
こうした物件を手に入れるためには、まず先立つものが必要。目的地に最初にたどり着いてもらえる援助金はある程度まとまった金額なので、会社経営の役に立つはず。
ただし、誰かが目的地にたどり着くと、その時点で目的地から一番遠かった人に「貧乏神」が取りつきます。
貧乏神は他のプレイヤーと重なる・すれ違う・追い抜くことでなすりつけることが可能。行動終了時に貧乏神が取りついているプレイヤーには、貧乏神からのいろいろな仕打ちが待ち受けています。定価より高くカードを買ってきたり、あるいは物件を勝手に売却したり、手持ちカードを破壊したりと、その行動の多くはプレイヤーの足を引っ張るもの。もし借金状態に陥ると、手持ちの物件を売却する必要があり、会社の収益を落とすことになるため、できるだけ貧乏神には取りつかれないようにするのが定石。
さらに、貧乏神はランダムで変身することも。毎月少額のおこづかいをねだるというミニボンビーに変身した場合は、被害がむしろ軽微になりますが……
進化形態といえるキングボンビーは、多額の資金を捨てるだけでなく、爆発すると資産が減る上に手元のカードも消されるという時限爆弾カードを渡してくることや、全てのカードを捨ててくることもあり、上位を走っていたプレイヤーが一気に順位を落とすこともあります。
Nintendo Switch「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」のキングボンビーの悪行はこんな感じ - YouTube
さらに、キングボンビー以外のゲストボンビーも存在します。「ビッグボンビー」は、サイコロの目の数だけ借金を倍増させてきます。しっかり資金を持っていないと、攻撃に耐えきれません。
キングボンビーJr.だという「ポコン」は、プレイヤーの持っている物件を吹き飛ばしてしまいます。手持ち物件の売却は、自分でどれを売るか選べるので、収益率が上がっている独占物件を後回しにすることができますが、ポコンにはそういった配慮は一切なく、かなり手痛いダメージをもらうことになります。さらに、ポコンを連れたプレイヤーの近くにいると巻き添えを食らうことになるので要注意……。
Nintendo Switch「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」の貧乏神新形態・ポコンは物件を吹き飛ばす能力 - YouTube
加えて、本作最強の進化形態として、「デストロイ号」も登場します。デストロイ号に取りつかれたプレイヤーは、通常行動後、サイコロを3個振って出目の数だけ強制的に移動させられ、移動中の通過駅とその周辺の物件をランダムで破壊します。どこへ移動するかはデストロイ号次第で、独占駅や高額物件が存在する駅に進行する傾向があるようなので、独占駅が多い地域でデストロイ号に変化すると大惨事に。
Nintendo Switch「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」の貧乏神最強形態「デストロイ号」大暴れ - YouTube
ランダムイベントも多数用意されています。たとえば、従来シリーズにいた「名産怪獣」も種類を増やして再登場。あまりの破壊力にプレイヤーからかなり嫌われている「男鹿半島怪獣ナマハーゲン」もいます。
特定駅の物件を独占するとプレイヤーの味方として参加してくる「歴史ヒーロー」もいます。ヒーローたちはそれぞれ独自の特技を持っているので、いろいろな形でプレイヤーを助けてくれる……はず。
シリーズでおなじみ「スリの銀次」もいろいろな変装で登場。プレイヤーの所持金のうち「4分の1」「半額」「全額」のいずれかをゴッソリ奪っていくという盗賊で、大金を手にしたら持ち歩かずに他の形に換えろという教訓を教えてくれます。なお、「パトカード」で被害を防ぐことが可能です。
貧乏神の悪行やイベントにより借金まみれになってしまうことは多々ありますが、諦める必要はありません。借金をチャラにできる「徳政令カード」がカード売り場で0円で入手できたり、目的地到着時に現地の住民がお金をかき集めてくれたりと、借金返済イベントが複数用意されています。100万円の借金だろうが1000兆円の借金だろうが返すときは一瞬なので、負債の額そのものを気にする必要はほとんどありません。カードは複数枚所持することができるので、初心者は「徳政令カードをあらかじめ複数枚持っておく」という作戦もアリ。
被害を減らすためには貧乏神を自分以外に取りつかせておくことが大事ですが、他のプレイヤーも同じように考えて貧乏神をなすりつけてきます。つまり、貧乏神をなすりつけた上で逃げ切るために、移動力の確保はかなり重要。移動力は基本的にカードで強化可能ですが、移動系カードを全員が持つようになると、一度貧乏神に取りつかれたとき、長期間悪行を食らうハメになりがちです。
誰かがゴールに到達したときに最もゴールから遠い位置にいると貧乏神に取りつかれるため、ゴールに向かうためにも移動力はやっぱり必須。サイコロを6回ふる効果を複数回使用できる「ロイヤルEXカード」などを所有していれば移動力で優位に立てますが、「カード売り場駅」で販売されるカードは駅によって異なるため、なかなか目当てのカードが入手できない状況が続くことも。
こうした場合に重要なのが、「ヘリコプター」の存在。本作のヘリコプターは、「H」の記号が書かれたヘリポートマスに止まると、日本全国に存在するヘリポートの中から選択された4箇所のどこかに無料で飛ぶことが可能という救済措置のような扱いです。目的地の20マス以内のヘリポートが候補としてあがるケースが大半なので、「目的地まで70マスある……」という場合でも一気に距離を詰められます。
Nintendo Switch「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」の移動手段・ヘリコプターが強すぎる - YouTube
また、本作は順位が上位のプレイヤーは貧乏神が強い形態に変身しやすかったり、下位のプレイヤーにはラッキーなイベントが起きやすかったりするなどの補正がかかる様子。貧乏神のクシャミに吹き飛ばされたプレイヤーが目的地の1マス手前に飛ばされることもありました。
Nintendo Switch「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」は奇跡を信じるゲーム - YouTube
しかし、副監督の桝田省治氏がインタビューの中で「麻雀といっしょで、ヘタな人とうまい人とやっても、ヘタな人が勝つこともある、というバランスかな」と明言しているだけあって、本作は腕前で差がハッキリ出るゲームです。「桃鉄は今回が初」という初心者は、桃鉄のセオリーを学ばないとストレスが溜まる展開が続くかも。
そんな初心者には、「ひとりで桃鉄」から選べる「桃鉄3年決戦!」モードがオススメ。このモードは初期資金1億円&急行周遊カード・ぶっ飛びカードを所持してスタートし、プラス駅・マイナス駅・目的地到着金などの資金変動が多くなるように設定されるという、期間3年で固定のモード。何が起ころうと3年で強制的に終了するので、まずはこのモードで弱めのCOMと戦うとゲーム自体の理解が深められます。
COMはサイコロで1~3しか出せない最弱の「まめオニ」から、絶好調時には「カード駅がすべてナイスカード駅に、マイナス駅はプラス駅に変化し、プラス駅の金額も通常の5倍。加えてカードなしでもサイコロを6個」という公式チートを持つ上に、通常時も明らかにサイの目を弄ってるとしか思えないという、桃鉄シリーズの産みの親・さくまあきら氏をモデルにした「さくま鉄人」まで存在。それぞれのCOMはさまざまな性格と能力を持っており、単純な強さだけではなく個性も確立されています。
本作は友だちと集まって対戦できる「みんなで桃鉄」「ちかくで桃鉄」モードの他にも、オンライン対戦が可能な「ネットで桃鉄」などのモードもあります。ゲーム期間は1年から100年まで設定可能で、プレイ目安時間は5年で2時間ほど。設定次第では長丁場になりますが、プレイ中に設定年数を変更したり、COMにプレイを引き継がせたりすることも可能なので、気楽にプレイを始められます。
桃鉄シリーズとしては、過去作とBGM・SE・操作インターフェイスなどがほぼ共通しているため、変わったのはキャラクターデザインが土居孝幸氏から竹浪秀行氏に変わった点ぐらいともいえます。バランス的には過去作品よりも差が広がりにくいように調整された印象ですが、プレイを重ねるごとに知識が増えて「この駅にはいい物件が多いから優先しよう」「あえてゴールを諦めて、カードを集めよう」など、幅広い戦術を考えられるように成長できる奥深さは桃鉄の良さがそのまま引き継がれていると感じられました。
Nintendo Switch「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」は、記事作成時点ではAmazon.co.jpで税込5664円で購入可能です。
Amazon.co.jp: 桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番! ~: ゲーム
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