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伝説の「クジラの爆破解体イベント」から50周年を迎える、爆破の瞬間を記録したムービーも公開中


1970年11月9日、アメリカ・オレゴン州のフローレンスという町の海岸に、体長約45フィート(13.7メートル)のコククジラが漂着しました。処理に困ったオレゴン州当局は「クジラを爆破解体する」という決定を下し、見物客やTVカメラの前でダイナマイトを使った爆破が実行に移されました。「伝説のクジラ爆破解体イベント」として知られるこの一件について、オレゴン州のTV局であるKATUが爆破シーンを撮影した報道映像の4Kリマスター版を公開し、当時の関係者へのインタビューも行っています。

The Exploding Whale remastered: 50th anniversary of legendary Oregon event | KATU
https://katu.com/news/local/the-exploding-whale-50th-anniversary-of-legendary-oregon-event

Fifty years ago, Oregon exploded a whale with a half-ton of dynamite - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/nation/2020/11/13/oregon-whale-explosion-anniversary/

実際にクジラを爆破解体した様子は、以下のムービーを見るとよくわかります。

Exploding Whale 50th Anniversary, Remastered! - YouTube


漂着したクジラを前にマイクを持っているのは、当時KATUのニュースリポーターを務めていたポール・リンマン氏。


漂着したクジラはおよそ14メートルで、当局が処分方法について考えているうちにも腐敗が進み、悪臭が問題になっていたとのこと。


周囲のビーチにまで悪臭が広がったため、漂着から3日後の11月12日にオレゴン州当局は「クジラを爆破解体する」ことを決定しました。


爆破解体に動員されたのはオレゴン州運輸局の高速道路課に勤めていたエンジニアたち。


爆破のため、およそ0.5トンものダイナマイトが砂浜に運び込まれたそうです。


クジラの体を爆破して細かく解体することにより、カモメやカニが食べたり波がさらったりしやすくなると、当局は考えていました。


インタビューを受ける高速道路課のエンジニア。


クジラの周囲にダイナマイトが設置され、準備が完了。


クジラの爆破解体というめったにないイベントを見るため、周囲には見物客も集まりました。


人が遠ざかったところでカウントダウンが始まり……


爆発。


見物客からは歓声が上がります。


しかし、バラバラになった腐敗した脂身が爆風によって予想以上に遠くまで飛散し、人々は慌てて頭上に降ってくる脂身から逃げる羽目になってしまったとのこと。リポーターのリンマン氏やカメラマンのダグ・ブラジル氏も脂身をかぶってしまったそうです。


爆破解体によって臭い破片がまき散らされ、辺り一帯はこれまで以上の腐敗臭に包まれることになってしまいました。さらに、吹き飛ばされた脂身は爆破地点から400メートルほど離れた駐車場にまで到達し……


大きな脂身が直撃した車がつぶされる事故も発生。


幸いにも車にのっていた人はおらず、ケガ人はいませんでした。


他の見物客やエンジニア、報道関係者たちにも、体が臭くなった以外の被害はなかったそうです。


しかし、バラバラになった脂身を食べてくれると期待されていたカモメたちは、爆破に驚いたのか周囲から消え去ってしまったとのこと。また、爆破で吹き飛んだのは脂身の一部分だけであり、残った部分は最終的に高速道路課が撤去したそうです。


結局、この爆破解体イベントでは臭い脂身が広範囲にまき散らされただけとなり、試みは失敗に終わりました。リンマン氏はレポートの最後に、「クジラが再び漂着した時、担当者は何をするべきか覚えているだけでなく、『何をしてはいけないか』を覚えていることでしょう」と述べました。


「クジラの爆破解体イベント」はオレゴン州でよく知られた話でしたが、およそ20年後に報道映像が紹介されたことでより広く知られるようになりました。リポーターを務めたリンマン氏も大きな注目を集めたそうで、「私はほぼ毎日、見知らぬ人からこの一件について尋ねられたり、話しかけられたりしました」とコメント。


ブラジル氏は、「この一件が50年たった今でもインターネット上で物語として残り続けるのは素晴らしいことです」と述べています。


なお、クジラの爆破解体イベントはつぶされた車以外に大きな被害がなかったこともあり、フローレンスでは町を代表する出来事として受け止められている模様。2020年には爆破から50周年を迎えたことを記念して、付近の公園が「Exploding Whale Memorial Park(クジラの爆発記念公園)」と名付けられています。

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in 生き物,   動画, Posted by log1h_ik

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