自転車発電でバックアップ電源をさらにバックアップする試み
停電しても電力を供給し続けるために発電機を導入するという手段がありますが、ガソリン発電機を使うためにはガソリンを準備する必要があり、ガソリンが手に入らない状況では電力を供給できなくなってしまいます。アメリカ電気電子学会(IEEE)の学会誌「IEEE Spectrum」の編集者であるデヴィッド・シュナイダー氏は自転車発電と太陽光発電を組み合わせて、どんな時でも電力を供給できるシステムを構築しました。
Use Your Bike as a Backup to Your Backup Power Supply - IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/geek-life/hands-on/use-your-bike-as-a-backup-to-your-backup-power-supply
シュナイダー氏の住んでいるアメリカの東海岸は、ハリケーンの被害が比較的少ない地域ですが、それでも暴風雨や冬の厳しい吹雪によって停電が発生することがあります。コロナ禍で電力が必要不可欠なインターネットへのアクセスの必要性が増したことや、電気工事に携わる人員が削減されたことで停電が長続きすることが予想されたため、シュナイダー氏は自家発電システムを構築することにしました。
IEEEでは2012年にニュージャージー州を襲ったハリケーンの影響でガソリンが入手できなくなり、データセンターが停止したことがあります。「ガソリンが手に入らなくても電力を供給するためにはガソリンに依存しない発電機が必要である」と考えたシュナイダー氏は、自家発電システムに太陽光発電を用いることに。
シュナイダー氏は4台のノートPCとケーブルモデム、ワイヤレスルーターを4時間稼働させるのに必要な300Whの電力を確保するために、Amazon.comで100Wの太陽光発電パネルを2台と公称420Wh蓄電可能な12V・35Ahのバッテリーを購入し、すでに所有していた35AのDC-DCコンバーターと組み合わせて発電システムを構築しました。これにより数日間雨が続いても電力を供給することが可能になりましたが、長期間に渡って雨が続くと、太陽光発電ができず、バッテリーの電力を使い切ってしまうことが予想されます。そこでシュナイダー氏はバックアップ電源である太陽光発電をさらにバックアップする電源が必要であると考えました。
「風力発電を用いることも考えましたが、もっと信頼できるエネルギー源を思いつきました」と語るシュナイダー氏がエネルギー源として採用したのは「自身の両足」でした。つまり、太陽光発電のバックアップを自転車発電で行おうというわけです。
シュナイダー氏は自転車スタンドにモーターやカプラーを取り付けて自転車発電機を自作しました。さらに、デジタルモニターと自転車発電機を接続して、電流、電圧、発電量を監視できるようにしました。シュナイダー氏の作成した自転車発電機を1時間こぐと、数時間ノートPCをインターネットに接続したり、電話をしたりするのに十分な60Whの電力を生み出せるとのこと。
シュナイダー氏は「自転車発電機で発電させるのは子どもたちにとっていい経験となります。テレビや電球を付けるたびに、自分たちが使う電力を生み出すためにどれだけの力が必要か考える事ができるのです」と語っています。
また、このような発電システムを構築せず、もっと手軽に非常時の電力を確保したい場合は、アウトドア用途まで想定されているポータブル電源を使うという手もあります。
最大出力516Wで8つの機器を同時充電可能な超大容量アウトドアバッテリー「Anker PowerHouse II 400」を使ってみた - GIGAZINE
・関連記事
もしもの災害や停電に備えて「発電機」を実際に購入・維持してみてわかった注意点まとめ - GIGAZINE
最大出力516Wで8つの機器を同時充電可能な超大容量アウトドアバッテリー「Anker PowerHouse II 400」を使ってみた - GIGAZINE
普通のカセットボンベで使える山善のインバーター発電機「EIGG-600D」レビュー、台風シーズンやアウトドアなど家庭でも活躍しそう - GIGAZINE
アウトドアでもモバイル機器を充電できる水力発電機「Enomad-Uno」を使ってみた - GIGAZINE
・関連コンテンツ