サイエンス

光の95.5%を反射する「究極の白いペンキ」が開発される


カーボンナノチューブを使った世界で最も黒い物質ベンタブラックは、当たった光の99.9%以上を吸収し、塗布した表面の凹凸や奥行きがわからなくなるため、望遠鏡の内壁やカモフラージュの新素材として応用されています。そんなベンダブラックなどと反対に、当たった光の95%以上を反射する塗料が開発されました。

Full Daytime Sub-ambient Radiative Cooling in Commercial-like Paints with High Figure of Merit: Cell Reports Physical Science
https://www.cell.com/cell-reports-physical-science/fulltext/S2666-3864(20)30236-8

This white paint could reduce the need for air conditioning by keeping surfaces cooler than surroundings - Purdue University News
https://www.purdue.edu/newsroom/releases/2020/Q4/this-white-paint-could-reduce-the-need-for-air-conditioning-by-keeping-surfaces-cooler-than-surroundings.html

You've Heard of Vantablack. Scientists Just Created 'Super White', And It's Very Cool
https://www.sciencealert.com/you-ve-heard-of-vantablack-this-is-what-super-white-paint-can-do

高温の物体は周囲に電磁波の形で熱エネルギーを放射し、温度を下げる「放射冷却」を起こします。この放射冷却がヒートアイランド現象や地球温暖化にも影響を及ぼしているという指摘があり、「いかにして直射日光による温度上昇を抑えるか」という課題が長年科学者たちを悩ませてきました。

パデュー大学機械工学科の研究チームが開発した塗料は、炭酸カルシウムを含むアクリル塗料の一種です。従来の塗料では最大でも当たった光の80~90%しか反射できませんでしたが、この新しい塗料は直射日光の95.5%を反射するとのこと。そのため、この塗料を塗った物体は直射日光で温められることはなく、野外にあっても周囲の温度よりも低温を保つことができます。

以下は研究チームが屋上で行った実験で撮影した赤外線カメラの画像。左の紫色の物体が新しい塗料を塗ったタイルで、右は市販の白い塗料を塗ったタイルです。どちらも同条件で直射日光を照射されたにもかかわらず、新しい塗料を塗布したタイルの方が低温であることがわかります。


屋上で実験している様子は以下のムービーから見ることができます。

Radiative Cooling Paint - YouTube


左が新しい塗料で、右が従来の塗料。ほんのわずかに色が違いますが、ほとんど違いはわかりません。


塗料を塗ったタイルを屋上で直射日光にさらすのは、研究チームを主導したパデュー大学機械工学科のXiulin Ruan教授。


一見するとただ白い塗料を塗っただけのタイルですが……


温度を測定できる赤外線カメラで見ると、新しい塗料で書いたパデュー大学の頭文字である「P」だけが周囲温度よりも低くなっており、青く浮かび上がっています。


研究チームは、さまざまな場所や気象条件に基づいて2日間のフィールドテストを行い、新しい塗料を塗布した部分は夜間では周囲の温度よりも10℃ほど低く、昼間は周囲を1.7℃ほど下げる効果があることがわかりました。

研究チームによれば、この新しい塗料は従来の塗料とほぼ同じ方法で塗ることができ、乾燥すれば摩耗や水にも強く、屋外環境下で少なくとも3週間は耐えるとのこと。さらに塗料の耐久性を上げるために、フルオロカーボンベースの高分子を組み合わせることを研究チームは提案しています。

また、新しい塗料の製造プロセスは従来の塗料と互換性があり、製造コストもほぼ同等か、あるいはより下がる可能性があるそうです。なお、塗料の名前はまだ決まっていません。

Ruan教授は「実用可能な単層粒子マトリクス塗料で、環境下放射冷却に対する信頼性の高いソリューションを開発するのは、根気を必要とする研究課題です。この新しい塗料は、放射冷却を広く応用し、地球温暖化の影響を緩和するためには重要な存在です」と語っています。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1i_yk

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