ハードウェア

犬用の「ARゴーグル」が開発されている


レンズやディスプレイを通して現実環境に情報を付加する拡張現実(AR)は、ゲームやスマートフォンアプリなどで広く用いられる技術として主に人間が使うものとして普及してきました。しかし、アメリカ軍による発表で「軍用犬のためのARゴーグル」が開発中であることが明らかになり、ARは人間のためだけでなく、犬が使うツールとしても普及の可能性が示唆されています。

Augmented reality dog goggles could help protect Soldiers | Article | The United States Army
https://www.army.mil/article/239705/augmented_reality_dog_goggles_could_help_protect_soldiers

US Army working on AR glasses for military dogs
https://newatlas.com/vr/dog-augmented-reality-glasses-us-army-military-ar-vr/

軍用犬は通常、口頭による命令やハンドシグナル、レーザーポインターなどで指示を与えられており、指示者が常に犬のそばにいる必要があります。しかし、場所や状況によっては指示者が犬のそばにいることが危険であるケースもあるため、遠隔から犬に指示を出せるツールの開発が望まれていました。過去には、カメラやトランシーバーを用いて軍用犬に遠隔から指示をだす実験が行われてきましたが、犬が指示を理解できず混乱してしまうという問題が多発していたとのこと。


そのため、アメリカ軍は軍用犬に指示を出すための新たな手段として、「ARゴーグル」に注目していますアメリカ軍によると、開発中のARゴーグルは軍用犬による救助活動や危険物捜索の補助を目的としたもので、犬にARを通して視覚的な命令を与えることが可能であるとのこと。また、犬がARゴーグルを通して見ているものは遠隔で指示者からも確認できるようになっているそうです。

アメリカ陸軍研究事務所の科学者、スティーブン・リー氏は「新技術は軍に、軍用犬とより良いコミュニケーションを取るための重要なツールを提供しました。ARは犬にとって、人間とは異なる働きをするツールです。ARは人間のように交流するためのツールとして使用するのではなく、犬に命令や手がかりを与えるために使用されます」とコメントしています。


軍用犬向けARゴーグルは、シアトルの企業であるCommand Sightがアメリカ軍からの研究資金を受けて開発しているもの。記事作成時点で試験用のARゴーグルは有線式ですが、次の試作品はワイヤレス式にすることが検討されているそうです。

Command Sightの創設者であるPeper氏は声明で、「軍用犬向けARゴーグルは、将来的に軍用犬が陸軍でどのように配備されるかを根本的に変えることができます」とコメント。しかしPaper氏は、ARゴーグルの技術が陸軍で実用化されるまでにはまだ長い道のりがあるとも述べています。

ARゴーグル開発の次のステップでは、Command Sightの研究者たちがアメリカ海軍特殊部隊と協力して、現役の軍用犬が実際に使用できる試作品を製作することが検討されているとのこと。試験対象となる犬は個体ごとに3Dスキャンを行い、それぞれの犬に適したARゴーグルが個別に製作される予定です。「願わくば数年後に、軍隊に軍用犬向けARゴーグルを提供できることを楽しみにしています」とPaper氏はコメントしています。

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in ハードウェア,   生き物, Posted by darkhorse_log

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