サイエンス

3万3000年前の海底から地球に降り注いだ「超新星爆発」の痕跡が発見される


大質量の恒星が一生を終える時、「超新星爆発」という大規模な爆発を起こすことがあります。この超新星爆発の残骸が地球の深海から発見され、地球を含む太陽系が宇宙を移動すると共に地球へ降り注いでいた可能性を示唆しているとする研究が発表されました。

60Fe deposition during the late Pleistocene and the Holocene echoes past supernova activity | PNAS
https://www.pnas.org/content/117/36/21873


Ancient star explosions revealed in the deep sea
https://phys.org/news/2020-08-ancient-star-explosions-revealed-deep.html


Earth Appears to Be Travelling Through The Debris of Ancient Supernovae
https://www.sciencealert.com/earth-might-be-moving-through-the-debris-of-ancient-supernovae


研究を発表したのは、オーストラリア国立大学の原子核物理学者であるアントン・ウォールナー教授の率いる研究チーム。ウォールナー教授は重イオン加速器施設(HIAF)の超高感度質量分析計を用いて、海底箇所から採取された3万3000年前の堆積物を調査しました。

その結果、鉄の同位体で放射性物質である60Feの痕跡を発見したとウォールナー教授は発表しました。


半減期260万年の60Feは、完全に崩壊するまで1500万年ほどで、超新星爆発などの核融合反応でのみ発生するとされています。

地球の年齢がおよそ46億年であることから、3万3000年前の海底堆積物から発見された60Feは最初から地球上に存在したのではなく、地球外からやってきた物質である可能性が高いとウォールナー教授は論じています。

過去数千年の間、地球を含む太陽系は局所恒星間雲(LIC)とよばれるガスとチリの雲の中を移動してきたといわれています。このLICの起源は明らかになっていませんが、60FeがLIC由来であるとするならば、LICは超新星爆発によって発生したと考えられます。


ウォールナー教授によれば、これまでの研究でも260万年前と600万年前の海底堆積物から60Feが発見されたことが確認されていたとのこと。時代に応じて60Feの量に違いが見られることから、海底堆積物から検出された60Feは宇宙に均一に存在する物質ではなく、太陽系がLICを通過した時に超新星の残骸が地球外から降り注いだことを示唆しているといえます。

ウォールナー教授は「最近の論文では、チリに含まれている60Feが星間物質として漂っている可能性が示されています。そして、星間にある60Feはさらに古い超新星爆発に由来しており、私たちが検出しているのは太古の超新星爆発を反映したものなのです」と述べ、他の時代の海底堆積物に含まれる60Feの検出を今後の研究課題として挙げました。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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