メモ

スポーツ選手が試合をしている最中の「心拍数データ」を収益化する試みが進行中


近年ではスポーツの世界にもデータ分析の波が押し寄せており、野球やサッカーではさまざまな指標やデータが計測され、ファンはプレイやスコアの他に指標やデータを用いて楽しんでいます。壁に囲まれたコート内でボールを打ちあうスカッシュのプロ団体・プロスカッシュ協会(PSA)は、「試合中の選手の心拍数を測定して収益化する試み」を進めています。

Sports Data Labs Partnership Pays off for Players - Professional Squash Association
https://psaworldtour.com/news/view/7706/sports-data-labs-partnership-pays-off-for-players

Squash to monetise players’ physiological data to attract more eyeballs | Sports News,The Indian Express
https://indianexpress.com/article/sports/sport-others/squash-monetise-players-physiological-data-to-attract-more-eyeballs-6585778/

2019年12月、PSAはテクノロジープロバイダーのSports Data Labsに戦略的な投資を行い、「選手の生理学的データ」を収益化する試みを模索し始めました。この試みに同意した選手は試合中に測定用のストラップを装着し、測定された心拍数データをコート内の観客やTV中継を観戦中の人々に公開する代わりに、金銭的なインセンティブを得ることができるそうです。PSAは心拍数データが観客を楽しませ、より多くのファンを獲得する役に立つと考えています。


インドのプロスカッシュ選手であるサウラヴ・ゴシャール氏は、「この試みについては1年半前から知っていました。スポーツに関する新しい情報を提供することは何であれ興味を呼びます。たとえばサッカーには非常に多くの統計があり、人々の創造力をかき立てています」とコメント。スポーツのデータ収集には観客を引きつける効果があると認めていますが、ゴシャール氏自身は心拍数データを提供する代わりに報酬を得る試みには参加しないとのこと。

ゴシャール氏は心拍数の測定を拒否する理由について、「練習で試してみましたが、ストラップが胸から滑り落ちました。そして測定用のストラップがキツすぎると、息をするのが難しくなります」と述べています。また、「試合中のどの時点でも自分の心拍数を全世界に知らせたいかどうかわかりません」と主張し、心拍数の提供には実用面と戦略面の両方でハードルがあると述べました。


コートが比較的狭く、上級者の打球スピードが時速200kmに達することもあるスカッシュは、非常にプレイヤーの心拍数が高くなりやすいスポーツとして知られています。運動強度はテニスの2倍といわれており、心拍数が1分間当たり200回を超える場合もあるとのこと。心拍数のデータはスカッシュの初心者にとって、「プレイヤーが疲れている」「プレイのペースが上がっている」といった情報を知る手がかりになり得ます。

また、データ分析の手がスカッシュのコート内に及んだ場合、その可能性は計り知れないとゴシャール氏は指摘。プレイヤーとボールの距離、打球速度、総走行距離、最短・最大・平均のラリー継続時間、30秒または1分間当たりのラリー回数といった指標が測定可能であり、「これらの指標により、人々はまったく違った方法でスポーツを見ることになるでしょう」とゴシャール氏は述べています。

プレイに関する細かい指標やデータが役立つのは、試合を見守る観客だけではありません。プレイヤー自身も微妙な指標に注目してプレイを改善できる可能性があるそうで、ゴシャール氏は「個人的には、どれほどの心拍数で最大の運動強度を発揮しているのかが知りたいです」とのこと。


ゴシャール氏はデータ測定の波がスカッシュに押し寄せた場合、人々はデータを用いてスカッシュの試合を楽しむようになるだろうと考えています。その一方で、確かに統計が持つ力は大きいものの、それだけでプレイヤーの成功や失敗を予測できるものではないとも指摘。

たとえばサッカー選手について話す際に、「跳躍力」や「ダッシュの速度」といった個々の要素のみでプレイの質を論じることはできません。たとえ跳躍力に優れたプレイヤーであっても、飛んできたボールにうまくタイミングを合わせてジャンプし、ヘディングする能力を備えていなければ意味がありません。もし「ダッシュが速い選手ほど優れている」のであれば、複数の種目で世界記録を保持している元陸上競技短距離選手のウサイン・ボルト氏が最も優れたサッカー選手ということになります。

ゴシャール氏は「ゲームの読みやメンタルは測定できません。ロジャー・フェデラーやラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチはいずれも優れたテニスプレイヤーですが、それぞれの優れたポイントは異なっています」と指摘。これと同様に、優れたスカッシュプレイヤーは優れた部分をスカッシュに適応させているため、何かの指標が秀でているからといって、偉大なスカッシュプレイヤーになれるとは限らないと主張しました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
AIや機械学習などのテクノロジーによってクリケットはどう進化したのか? - GIGAZINE

FIFAが「サッカーの試合におけるビデオ判定」にAIを組み合わせることを計画 - GIGAZINE

スポーツのデータ分析にウェアラブル端末・Surface・高精度カメラを導入、次世代データ分析がスポーツ界で主流に - GIGAZINE

スポーツにおける「技術」と「運」が占める割合は?そしてなぜ人々はスポーツを楽しむのか - GIGAZINE

スポーツの試合にファンの声援が与える影響とは? - GIGAZINE

世界一儲かるスポーツ?サッカークラブトップ20の合計年間収入は7900億円超、圧倒的な収入内訳がコレ - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.