自宅で作れるCERN公式「素粒子検出器レシピ」が公開中、DIYするとこんな感じ
スイスとフランスをまたぐ世界最大規模の素粒子物理学研究施設である欧州原子核研究機構(CERN)は、質量が発生する仕組みを説明する鍵となるヒッグス粒子の発見や、インターネットで幅広く利用されるHTTPの開発など、物理学のみならずさまざまな領域で多大な功績を残しています。CERNといえば地下約100mに設置されている素粒子検出器「ATLAS検出器」が有名ですが、そんな素粒子検出器をDIYする方法が公開されています。
CERN at Home: Building a Particle Detector – The Fosters at Clanhouse
https://clanhouse.com/cern-at-home-building-a-particle-detector
GitHub - ozel/DIY_particle_detector: A mobile low-cost spectrometer for measuring radioactivity and the energy of ionising radiation like alpha particles and electrons
https://github.com/ozel/DIY_particle_detector
DIY Particle Detector | S'Cool LAB
https://scoollab.web.cern.ch/diy-particle-detector
CERNの研究者であるOliver Keller氏がハードウェア設計を公開している素粒子検出器は、自然界に存在する放射能を探るための教育向けツールであるとのこと。ハードウェア構成は以下のリンクから確認可能。簡単に調達できる部品のみが使われています。
electron-detector on Kitspace
https://kitspace.org/boards/github.com/ozel/diy_particle_detector/electron-detector/
公開されている素粒子検出器は2モデルあります。基板の設計は共通で、どちらのモデルも検出できる電子ボルトの範囲は33keVから8MeVとのこと。2モデルの違いは素粒子を検出するフォトダイオードの種類となっており、フォトダイオードにBPX 61を使ったモデルはフォトダイオードのガラス窓を取り外すことでアルファ粒子を検出可能。
BPW 34 Fを採用したモデルは電子しか検出できませんが、その分部品代を抑えることができるとのこと。
この部品リストやハードウェア設計をもとに、イギリス在住のSteve Foster氏は実際に素粒子検出器を自分の子どもと一緒にDIYし、その様子をブログに公開。必要な部品はKitspaceにリスト化されているため容易に調達できますが、一部の部品は単品購入ができなかったため、少し余計に費用がかかり、リスト化されている部品以外にも、基板やバッテリーを収めるためブリキ缶が必要だったとのこと。それでも検出器の製作にかかった費用は総額40ポンド(約5500円)以下だったそうです。
検出器のDIYに使用したツールは、はんだごて、カッティングプライヤー、ワイヤストリッパー、ペンチ、マルチメーターなど、基板工作に必要な工具のほか、ブリキ缶に穴をあけるためのネイルパンチ、やすりとのこと。
DIYの過程はこんな感じ。まずは抵抗器を基板にはんだ付けして……
コンデンサーを取り付け。
検出した信号を増幅するための増幅器と……
フォトダイオードをはんだ付け。
基板にバッテリー、スイッチ、RF端子を取り付けて、ブリキ缶に収めれば素粒子検出器の完成。
RF端子からの信号をPCのマイク端子に入力し、オシロスコープで波形を表示することで、素粒子の検出をモニタリングすることが可能。ただし、最近のサウンドカードは検出器からの信号をノイズとして除去してしまうため、2008年に発売されたAsus EeePC 901で信号を受信したとのこと。
Foster氏によると、今回DIYした素粒子検出器の総製作期間はおよそ6週間とのこと。時間がかかってしまった理由については「16歳の息子にとって、素粒子検出器を製作するプロジェクトよりもゲームのほうが優先度が高かったため」と語っています。
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