無料で「ゲームデザイン」を学べるカリキュラムを1億人以上がプレイする大人気ゲームのメーカーが公開
1億人以上のプレイヤーを抱える「League of Legends」を開発したRiot Gamesのゲームデザインカリキュラム「URFアカデミー」は、「次世代のゲームデザイナーを育成し、世界中の学生にゲームの知識を伝える」ために作成されました。URFアカデミーに記載された文章には「インターネットとプリンターがあれば、どんな先生でも生徒に楽しいゲームデザインの方法を教えることができるよう、アクセス性を第一に考えました」と書かれており、教科書はすべて無料で閲覧可能、かつPDF形式でダウンロードできるようになっています。
URF Academy | Riot Games
https://www.riotgames.com/en/urf-academy
全6種類の講座では、シンプルなフレームワークを使ったゲームデザインの原則やワークショップなどを通してゲームデザインを学びます。難しいプログラミングなどは講座には含まれておらず、「ゲームデザイン」が内容の中心。最終的にはグループでマルチプレイヤーゲームのプロトタイプをデザインすることができるようになるとのこと。
◆1:ゲーム体験と8つの楽しみ方
最初の講座はゲームデザインにおけるプレイヤー部分に焦点を当てた内容です。ゲームが提供すべきプレイ体験の基本がプレイヤー視点で説明されており、「ゲームはプレイヤーの感情を喚起するために作られたものであり、同じゲームでもプレイヤーによって異なる感情を喚起することができる」という内容が学べる講座になっています。
「ゲームで遊ぶとどんな感情が生まれるか?」をテーマに、生徒を複数のグループに分けたディスカッションなども取り入れられています。
また、「感覚」「親睦」「挑戦」「ファンタジー」「物語」「発見」「表現」「服従」の8種類に分類したゲーム楽しみ方についても掘り下げられていました。
◆2:ゴールとペース配分
2番目の講座は、ゲームを製作するにあたって「ゴール」がどんな役割を持つかについて解説されています。ゲームにおけるゴールにはさまざまな種類があり、ゴールがもたらす利点やサブゴールの役割、サブゴールを設けることでペース配分を調整しながらプレイヤーに目的を与える方法を学びます。
この講座では紙とペンを使ったゲームをプレイし、ゲームにおけるゴールの役割を体験しながらのディスカッションが用意されていました。座学だけでなく体感しながら学ぶことに重点が置かれた内容になっています。
◆3:意思決定と問題解決
3番目は、ゲームデザインにおけるプレイヤーの意思決定と問題解決の重要性を知るための講座。ゲームの流れをスムーズにするには何が大事なのか、そしてゲームの重要な要素の1つである「コアループ」がプレイヤーの没入感をどのように高めるかが解説されていました。また、プレイヤーを退屈させないためのポイントについても触れられています。
講座中で実際に遊べるゲームも少し複雑になっていきます。制限時間内に敵の侵入を防ぐゲームをプレイして、問題解決とゲームサイクルの重要性だけでなく「回転の早い問題解決のサイクル」が面白さを生むことを、プレイ体験を通して理解することができます。
◆4:ゲームのルールとテーマ、複雑性の関係
4番目の講座は、ゲームのルールをどのように作るか、プレイヤーの興味を引きつつゲームの仕組みやルールを簡単に理解させるにはどうすれば良いか、という点に着目した内容になっています。また、ゲームのテーマを考えるブレインストーミングも用意されており、ゲームを作る上でアイデアをどのように出すのかも学べます。
◆5:ゲームプレイ
プレイヤーとルールの間をつなぐゲームプレイの作り方を習得できるのが5番目の講座。ゲームをプレイしながら学ぶだけでなく、プロのゲームデザイナーの実際の仕事内容についても語られています。プロはどのようにして作り込まれたゲーム体験を生み出しているのか、長時間プレイヤーの興味を持続させるにはどうすればいいのか、といったテクニックが解説されており、ゲーム製作会社ならではのノウハウを知ることができます。
◆6:ファイナルプロジェクト
最後は、これまでのモジュールで学んだことをすべて使って紙上にゲームのプロトタイプを作成します。講座のページには「ゲームデザインの基本を十分に学んだと感じて、自分のゲームを作ることができるようになってもらいたいと思っています。私たちは生徒たちに、一生もののゲームを作りたいという情熱と意欲を持ってもらいたいと考えています」と書かれており、全ての講座の集大成のような内容になっています。
Riot Gamesで公開されている講座は、もともと大学生向けに作成されたカリキュラムを「専門知識がない学生でも学べるように」と作成し直されたものとなっています。資料は無料でダウンロードでき、実際に簡単なゲームで遊びながら学ぶことができるので、ゲームデザインに興味がある大人や子どもにもおすすめな内容になっていました。
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