サイエンス

人類が憧れ続ける「音速」とはそもそも一体何なのか?


宇宙で最も速いのは光で、その速度は秒速30万キロメートルに達します。しかし地球上では、秒速約340メートルの「音速」が速さの壁となっており、人類はいかにして飛行機が音速の壁を越えるかを研究してきました。そんな音速について、科学系ニュースサイトのZME Scienceが解説しています。

What, really, is the speed of sound?
https://www.zmescience.com/science/what-is-speed-sound-2625234/


私たちが音として知覚しているものは、基本的には粒子の動きや振動であり、最も一般的なのは大気中の粒子による振動です。例えば「声に出して話す」というのは、肺から押し出された空気が声帯と衝突して振動することで可能になっています。そして、その振動が相手の耳にある鼓膜に衝突し、鼓膜に伝わった振動が電気信号に変換され、脳で処理されることで「聞く」ことができます。


物理学の観点では、音は浜辺に押し寄せる波と同じ振る舞いをしています。音の大きさは波の高さ(振幅)によって決まり、音程は波が海岸にぶつかる頻度(周波数)によって決まります。波が遠くに行けば行くほど、波が持つエネルギーが少なくなり、最終的に音が消えてしまいます。地球の裏側の音をきくことができないのはそのためです。

また、音の伝わり方は波を伝える「媒質」によって異なります。以下のムービーを見ると、固体・液体・気体で音の伝わり方が異なることがよくわかります。

Speed propagation with animated dominoes - Why speed is fastest in solids - YouTube


逆に言えば、音を伝える媒質が何もなければ、音は一切伝わりません。たとえば宇宙空間で何かを叫んだとしても誰も聞くことはできません。しかし、宇宙服を重ねて振動が伝わるようにすれば、声を伝えることができるようになります。


さらに、媒質の弾性によっても音の伝わり方が変わります。弾性は、曲げやねじりへの抵抗性(剛性)と、どこまで変形できるかの限界(弾性限界)によって特徴づけられます。鉄とゴムはどちらも弾性がありますが、鉄は剛性が高く、ゴムは弾性限界が高いという特徴があります。もちろん、鉄とゴムで音の伝わり方は大きく異なります。

つまり、音の伝わり方は媒質の弾性と密度で大きく変化します。例えば水素と酸素は弾性こそほぼ同じですが、水素の方が密度が低くなります。しかし水素を媒質とした時の音速は秒速約1270メートルですが、酸素を媒質とした場合は秒速約326メートルです。また、鉄ははるかに密度が高いものの、弾性も高いので、鉄を伝わる音の速度は秒速約5120メートルに達することもあるとのこと。

私たちの周囲にある大気の場合、温度によって変化はするものの、音は基本的に秒速約340メートルで伝わります。飛行機の速度を追求する時、この秒速340メートルが「音速の壁」として立ちはだかります。音速がなぜ速度追求の壁になる1つの理由が「ソニックブームの発生」です。

音速を超えて飛ぶ飛行機が衝撃波とソニックブームを発生させる様子は以下のムービーで見ることができます。

Supersonic Flight, Sonic Booms - YouTube


音速よりも速く移動する飛行機は、目の前の空気を圧縮してしまいます。やがて、この圧縮された空気はすべてマッハ1(大気を伝わる音の速度)で飛行機の機首から吹き飛ばされます。この超圧縮された空気による爆風が届く範囲にいる人にはソニックブームと呼ばれる大音響が聞こえます。ただし、飛行機は音速を超えて飛んでいるので、ソニックブームは「飛行機が観測者の前を通り過ぎた後」にしか聞こえません。

人類が音速を超えることができたのは比較的最近のことで、1947年と記録されています。アメリカとヨーロッパでは、陸上での音速飛行が基本的に禁止されていますが、「超音速飛行は依然として飛行機の技術追求にとって重要なトピックとなっています」とZME Scienceは述べました。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1i_yk

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