ハードウェア

新たな極超音速兵器の存在が画像共有サービスにアップされた写真から明らかに


画像共有サービス・Flickrに陸軍長官ライアン・マッカーシー氏が投稿した写真から、アメリカが新しいタイプの超音速兵器についてのプロジェクトを進行中であることが判明しました。Vintage Racerと名付けられた兵器は「超音速の発射物が敵の防衛をかいくぐり一般地域に着陸し、ミサイル発射台のように機能して、ターゲットを探して巡回する飛行体を放つもの」という、これまでは概念上でしか語られなかった技術となっています。

U.S. Army Flickr Page Inadvertently Reveals New Hypersonic Weapon Concept | Aviation Week Network
https://aviationweek.com/defense-space/sensors-electronic-warfare/us-army-flickr-page-inadvertently-reveals-new-hypersonic


Pentagon Has Tested A Suicide Drone That Gets To Its Target Area At Hypersonic Speed - The Drive
https://www.thedrive.com/the-war-zone/33934/pentagon-has-tested-a-suicide-drone-that-gets-to-its-target-area-at-hypersonic-speed

Aviation Week Networkが最初に報じた、問題の写真は以下から確認できます。写真は2019年10月14日にワシントンD.C.で開催された合衆国陸軍協会の年次会議で撮影されました。

AUSA 2019 | Secretary of the Army, Hon. Ryan D. McCarthy, at… | Flickr


写真右側に立つマッカーシー氏の手元には文書があり、拡大すると「Vintage Racer」と書かれていることがわかります。


文書の内容はぼやけており見づらいものの、Aviation Week Networkが分析したところVintage Racerという文字の横には「Loitering Weapon System(LWS) Overview」(巡回する武器システム)というタイトルが並び、Vintage Racerの特徴として「超音速での進入」「残存可能性」「目標到着時間」「複数の役割」「モジュラーペイロード」「経費の賦課戦略」などと書かれていたとのこと。

Modular payload
Multi-role and easily upgraded
Cost imposition strategy
Inexpensive to deploy, target is
$100K-$200K/vehicle; costly to defeat
/END

— Steve Trimble (@TheDEWLine)


限られた情報ではあるものの、Aviation Week Networkはこれが「超音速の発射物が敵の防衛をかいくぐり一般地域に着陸し、ミサイル発射台あるいは防空レーダーのように機能して、ターゲットを探し出すための巡回する航空システムを放つもの」の可能性があるとしています。


ニュースメディアのThe Driveは、「超音速での進入」という言葉は、Vintage Racerがマッハ5以上の速度で目標に近づくことを意味していると説明。その方法は明らかになっている情報からは分からないものの、弾道ミサイルや超音速巡回ミサイルが可能性として考えられるとのこと。ただし、コスト面から見ると超音速ミサイルよりも弾道ミサイルの可能性が高いとThe Driveはみています。また、資料によるとVintage Racerはステルスレーダーを搭載し、敵から探知されにくいという特性も有しているとのこと。目標到達時間は60~90分で、一般地域に到達したVintage Racerは、誘導システムを使って付属の発射物を射出し、ターゲットを破壊します。このとき、着地するまでにターゲットの詳細な位置を把握しておく必要はありません。

既にイスラエルは、このような「巡回しながらターゲットを見つけて攻撃する」兵器を開発しています。この兵器は制御ループ内に人間が入るマン・イン・ザ・ループ制御システムを採用しており、別の脅威が現れた時など、状況の優先度に合わせてターゲットを迅速に変え、動くターゲットを高い精度で狙うことが可能です。人間が制御に関わっているため民間人が近くいる場合など、副次的な被害を避けるために攻撃を中止することも可能となっています。

IAI Green Dragon - YouTube


The Driveによると、2021年度の国防総省の予算申請には、「Vintage Racerは目的とするターゲットを追う高度な能力を成熟させた」「このプロジェクトは空力デザインにおいて風洞テストでの成功が確認されており、2019年の飛行テストまでに誘導サブシステムを目的の動力学効果に組み込んだ。文書とプロトタイプ技術はさらなる開発を行うために米軍に移行した」とつづられているとのこと。また他の予算文書から、少なくともプロジェクトが2017年から存在したことがわかっています。

Aviation Week Networkに対し、ロシア国際問題評議会のステファノ・ビッチ氏は、「Vintage Racerのようなアイデアは、超音速兵器のコミュニティ内で可能性として議論されてきました」「恐ろしいのは、この音速の『何か』が防衛ミサイルなどを突破して着地し、そこから発射された飛行体が森の中に設置された大陸間弾道ミサイルの発射台を見つけ出すことです」と語っています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
もしあなたが無人航空機で暗殺されそうになった場合に生き残る22の方法 - GIGAZINE

正義のための殺人ドローンが一般人を次々に殺し出すまでのシナリオを描いた近未来ムービー「Slaughterbots」 - GIGAZINE

殺人無人機「キラードローン」の歴史と未来 - GIGAZINE

ドローンが大量破壊兵器になる危険性について専門家が警鐘を鳴らす - GIGAZINE

有人戦闘機と自律型無人戦闘機の空中決闘が2021年に行われる予定 - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.