優れたSF小説に贈られる「アーサー・C・クラーク賞」の最終候補6作品が発表される
「幼年期の終わり」「宇宙のランデヴー」「2001年宇宙の旅」などの作品で知られるSF作家のアーサー・C・クラーク氏の名を冠する「アーサー・C・クラーク賞」は、イギリスで最も名誉あるSF賞といわれています。そんなアーサー・C・クラーク賞の2020年度ノミネート作品から、最終候補6作が選出されました。
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2020年度のアーサー・C・クラーク賞には、出版社45社からの推薦と個人推薦をあわせて121作品の推薦があったとのこと。選考委員のトム・ハンター氏によれば、14年前は総数で45作品程度だったことを考えると、年々増加の傾向にあるといえるそうです。
また、2020年度の応募作のうち40%が女性作家によるものだったとのこと。2019年度は29%だったことから、女性作家の活動は今後も活発化するだろうとハンター氏。また、最終候補6作品のうち4作品が女性作家によるもので、これはアーサー・C・クラーク賞が創設されてから30年以上の歴史の中で初めてのことだそうです。
121作品のうち、最終候補として選ばれた6作品が以下。ハンター氏によれば、最終候補の6作品は同じSFでもジャンルは多岐にわたるとのこと。
◆1:チャーリー・ジェーン・アンダーズ「The City in the Middle of the Night」
◆2:キャメロン・ハーレイ「The Light Brigade」
◆3:アーカディ・マーティン「A Memory Called Empire」
◆5:エイドリアン・チャイコフスキー「Cage of Souls」
◆6:デヴィッド・ウェリントン「The Last Astronaut」
「SFは社会問題を問うためのトロイの木馬のようなものといわれますが、SFは本質的に進歩的なムーブメントなのでしょうか?」という質問に対して、ハンター氏は「SFそのものはムーブメントではありませんが、SFの中にムーブメントはあります。たとえば1960年代後半にはニューウェーブと呼ばれるムーブメントが起こり、サイバーパンクは1980年代初期のSF小説における一種の反乱です」と回答。さらにハンター氏は「SFのムーブメントには表と裏があります」と述べ、「2020年度の最終候補作品には表面的なムーブメントのみならず、過去のSF作品に立ち返り、SFそのものを再構成することでゆっくりと進化を遂げるようなムーブメントが見いだせます」と論じました。
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