2100年には「日本など23カ国で人口が半減する」という予測結果
ワシントン大学保健指標評価研究所の研究チームが、「2100年までの人口や出生率、平均寿命を予測する」という数理モデルに基づく研究結果を発表しました。この研究では、日本を含む23カ国が「2100年までに人口が半減する」と予測されています。
Fertility, mortality, migration, and population scenarios for 195 countries and territories from 2017 to 2100: a forecasting analysis for the Global Burden of Disease Study - The Lancet
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30677-2/fulltext
Fertility rate study predicts 'jaw-dropping' crash as fewer children born around the world | London Evening Standard
https://www.standard.co.uk/news/world/global-fertility-rate-drop-a4498526.html
発表された研究は、日本を含む195カ国・地域の人口と出生率、平均寿命を、出生率・移民率・死亡率などの各指標から導き出すというもの。出生率は教育達成度・避妊率などを変数とする関数として推定されており、移民率は社会人口統計指数・粗人口増加率・戦争や自然災害による死亡者数を、死亡率は基礎死亡率・死亡リスクに関するスカラー因子をそれぞれ統合した自己回帰移動平均モデルとして推定されています。
そうして算出された、世界人口の予測を示したのが以下のグラフ。横軸は「Year(年度)」、縦軸は「Population(人口)」を表しています。「Slower met need and education pace(より低い避妊率と教育達成度)」から「SDG met need and education pace(国連が定めた持続可能な開発目標で規定された避妊率と教育達成度)」までの5つのシナリオについて、それぞれのグラフが記載されています。大半のシナリオにおいては2060年頃をピークに人口が減少傾向に転じ、その後は減少速度が加速していることがわかります。
最も起こりうると判断されたシナリオでは、世界人口は2064年にピークである97億3000万人に達し、2100年には87億9000万人になるとのこと。2017年から2100年にかけて、5歳未満の子どもの数は6億8100万人から4億1000万人に減少する一方で、80歳以上の老人の数は1億4100万人から8億6600万人にまで増加。平均寿命は32.6歳から46.2歳まで大幅に伸びるそうです。
一方、全世界的な出生率の予測が以下。縦軸が「Total fertility rate(合計特殊出生率)」を表します。最良以外のシナリオにおいては、人口が減少し始めるターニングポイントである「2.1」を2030年頃には下回ると予測されています。最も出生率の低下が大きいシナリオにおいては、2040年頃に世界の出生率が「1.36」に達した後に、上昇に転じています。
平均寿命の予測が以下。左側が「Female(女性)」のグラフで、右側が「Male(男性)」のグラフ。縦軸が「Life expectancy(平均寿命)」です。いずれのシナリオにおいても今後平均寿命は順調に増加するという結果になっており、国や地域ごとの平均寿命の格差は2017年から2100年にかけて6.9歳から3.6歳にまで縮まります。2100年において平均寿命が75歳に達しない国は10カ国で、そのうち7カ国はサハラ以南のアフリカ諸国とのこと。
原論文において日本はたびたび言及されており、2100年における日本の出生率は1.32になるという予測だけではなく、タイ・スペインとともに、「2100年までに人口が半減する国」として挙げられています。日本の人口は2017年の約1億2800万人をピークとして、2100年には5300万人を割り込むとのこと。
また、人口などに連動する要素として「経済」も予測対象となっています。今回の研究では、2035年には中国が世界最大の経済大国になるが、2098年にはアメリカが返り咲くと予測されています。なお、日本も経済の項で言及されており、「大幅な人口減少にも関わらず、2100年において日本は世界第4位の経済大国としての地位を維持している」と記されています。
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