メモ

ロックダウンは人々の暮らしにどんな影響を与えたのか?


感染者数が1800万人を突破した新型コロナウイルスは、経済・行動・心理などのさまざまな分野に影響を与えています。新型コロナウイルス対策として実施される「ロックダウン」が人々の日常に与えた影響について、オーストラリア統計局が調査結果を公表しています。

4940.0 - Household Impacts of COVID-19 Survey, 6-10 July 2020
https://www.abs.gov.au/AUSSTATS/[email protected]/allprimarymainfeatures/D90A6BA872BC19D7CA25854F008214D1

More screen time, snacking and chores: a snapshot of how everyday life changed during the first coronavirus lockdown
https://theconversation.com/more-screen-time-snacking-and-chores-a-snapshot-of-how-everyday-life-changed-during-the-first-coronavirus-lockdown-143805

オーストラリア統計局が行った調査とは、精神状態や勤務状況、余暇の過ごし方などの日常的な質問に答えてもらう電話調査です。この調査では、1059人の被験者に2020年4月1日から2020年7月10日までの約3カ月にわたって、2週間に1回のペースで継続的に回答してもらいました。

オーストラリアではロックダウンが2020年3月中旬からスタートしたため、4月上旬の調査では50%近くの被験者が「世帯外の家族や友人と会わなくなった」と回答し、100%近い被験者が「電話やビデオ通話、テキストメッセージで連絡を取り合っている」と回答しました。


ロックダウン開始からおよそ1カ月が経過した4月中旬には、新型コロナウイルス騒動が起こる以前の調査と比較して約2倍の人が不安感を訴えました。この時点では、被験者の9人に1人が「ときおり絶望感に囚われることがある」と回答したとのこと。不安感を訴える傾向が強かったのは、女性や若者でした。

ロックダウンが緩和され始めた5月初旬には、ライフスタイルの変化には性差があることが判明。「在宅勤務を行っている」と回答した被験者は、女性では56%でしたが、男性では38%でした。一方、「孤独を感じている」と回答した被験者は女性では28%、男性では16%だったため、研究者は在宅勤務が孤独感と関連しているとみています。


さらに、5月初旬の調査では被験者の消費習慣に顕著な変化がみられました。2020年3月に行われた別の調査では「家財道具を追加購入した」と回答した被験者は47%でしたが、今回の縦断的調査のうちの5月初旬に実施された調査では、「家財道具を追加購入した」と回答した被験者は21%にとどまりました。2020年3月は新型コロナウイルスパニックによって、トイレットペーパーや手指消毒剤の買い占めが多発した時期で、一時は「闇市場が誕生しつつある」とも報じられました。

新型コロナウイルスパニックによるトイレットペーパーや消毒剤の買い占めが海外でも発生、闇市場が形成される可能性も - GIGAZINE


今回の調査によると、5月頃には人々は「自宅での食事」にお金を費やすようになったことが判明しています。4月上旬から5月上旬にかけて被験者の20%が「スナック食品の摂取量が増えた」と回答しており、13%が「果物や野菜の摂取量が増えた」と回答。一方、テイクアウトやデリバリーの食品を購入する頻度は減少しており、被験者の30%以上が「購入頻度が下がった」と回答しており、「飲酒頻度が上がった」と回答した被験者も14%にとどまったとのこと。

また、5月初旬には余暇の過ごし方にも変化が確認されました。「テレビやPCなどのスクリーンを見つめる時間が増えた」と回答した被験者は60%に達しており、41%が「家事やガーデニングなどの時間が増えた」、39%が「読書や工作の時間が増えた」、38%が「料理の時間やパンを焼く時間が増えた」とそれぞれ回答しました。

ロックダウンによって人々の私的な時間が増えたと考えられていますが、一方で「運動」に時間を費やすようになった人はあまりいませんでした。ロックダウン期間中に「活動的になった」と回答した人はわずか25%で、20%が「運動時間が減った」と回答しました。


ロックダウンがさらに緩和された6月下旬頃には、精神状態が回復傾向にあると回答した被験者が増加。90%以上が「社会的距離の確保している」と回答しましたが、一方でパーティーなどの社交の場を避ける人は少数でした。

6月下旬の回答で特筆されているのは、「制限が緩和されても変化したライフスタイルは元に戻らない」ということでした。ロックダウン実施以前と比較して、多くの人がテレビや料理、オンラインショッピング、ペットなどのロックダウン中に人気だったアクティビティに費やされる時間は長くなっていました。

感染が再拡大し、ロックダウンが再度実施されたメルボルンを除くオーストラリアの各州では、2020年7月には楽観的な機運が高まったことが確認されました。被験者の60%はメンタルヘルスについて「良好」ないしは「非常に良好」だと回答しており、50%以上が生活について「すでに正常に戻った」ないしは「6カ月以上に正常に戻ると思う」と回答したとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
パンデミックが幸福度を下げたがロックダウンにより回復したとの研究結果 - GIGAZINE

「50日の都市封鎖と30日の制限緩和」を繰り返すことで新型コロナウイルス感染症の流行を抑制できるとの研究結果 - GIGAZINE

5億3000万人もの人々がロックダウンなどにより新型コロナウイルスから守られたとの研究結果 - GIGAZINE

ロックダウンを解除したわずか4日後に新型コロナウイルス感染者数が過去最高を記録するという事例が発生 - GIGAZINE

新型コロナウイルスの流行とロックダウンのおかげで都市に住民が戻りつつある - GIGAZINE

in メモ, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.