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昆虫の背中に載るほどの超小型カメラで撮影した映像をスマホにストリーミング配信する試み


昆虫の背中に載せられるほど小さく軽いカメラモジュールを開発したと、ワシントン大学コンピュータサイエンス工学科のShyam Gollakota准教授が率いる研究チームが発表しました。研究チームは実際に昆虫の背中にカメラモジュールを載せ、スマートフォンに映像をストリーミング配信することに成功しています。

Wireless steerable vision for live insects and insect-scale robots | Science Robotics
https://robotics.sciencemag.org/content/5/44/eabb0839


A Bug-Sized Camera for Bug-Sized Robots and Bug-Sized Bugs - IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/automaton/robotics/robotics-hardware/uw-micro-camera

超小型カメラモジュールが実際にどんなものなのかは以下のムービーを見るとよくわかります。

Wireless Steerable Vision for Live Insects and Insect-scale Robots - YouTube


総重量84mgという超小型のワイヤレスカメラモジュールを、全長2~3cmほどの甲虫の背中に載せるとこんな感じ。カメラのイメージセンサーは幅2.3mm・重さ6.7mgで、モジュールには幅3mm・重さ6.8mgのBluetooth 5.0チップや重さ20mgのレンズ、長さわずか5mmのアンテナ、加速度計も搭載されています。


このワイヤレスカメラモジュールは、160×120ピクセル・毎秒最大5フレームのモノクロ映像を、最大120メートル離れたスマートフォンにリアルタイムで配信することが可能です。


机に置かれたさまざまなオブジェクトの間をよたよたと歩く甲虫。その背中に載せられたカメラモジュールの捉えた映像が、スマートフォンに逐一送られています。


毎秒5フレームなのでお世辞にも「なめらかな映像」とはいえませんが、それでもリアルタイムでスマートフォンに配信される映像を見ると、前を通り過ぎる人の足の動きがはっきりとわかります。また、スマートフォン側からカメラモジュール上の圧電アクチュエーターを操作することで、カメラを左右30度に動かしたり、パノラマ映像を撮影したりすることが可能です。


また、低光量でも撮影可能。例えば以下はカメラモジュールを載せた甲虫を懐中電灯で照らしたところ。この時の明るさは45.8ルーメンですが……


懐中電灯をオフにして、わずか2.0ルーメンという暗さになっても、カメラのゲインを調整することで目の前の様子がぼんやりとスマートフォンに映し出されています。


ただし、昆虫は人間の思う通りに動くわけではありません。そこで、このカメラモジュールを搭載できる超小型ロボットも開発されました。そのサイズは、直径19.05mmの1セント銅貨と並べた以下の画像を見ればよくわかります。


ロボットは毎秒最大3.5cmで移動することが可能で、人間が操作した通りに動き、搭載したカメラモジュールで撮影した映像をスマートフォンに送信してくれます。


研究チームによれば、実験後に昆虫からカメラモジュールを取り外しても、昆虫の行動に目立った悪影響は観察されなかったとのこと。研究者たちは、クモやガなど、カメラモジュールを持ち運びできるものなら何にでも搭載できると述べています。

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in ハードウェア,   生き物,   動画, Posted by log1i_yk

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