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Google ChromeにPCのバッテリー駆動時間を3割増やす「バッテリー節約機能」が実装される予定


GoogleのChromium開発チームが、2020年9月以降リリース予定のChrome 86にバッテリーの消耗を防ぐ機能を搭載すると発表しました。この機能によって、PCのバッテリー駆動時間が28%改善するとのことです。

Intensive throttling of Javascript timer wake ups - Chrome Platform Status
https://www.chromestatus.com/feature/4718288976216064


Throttling Javascript Timers to Reduce Battery Usage in Background Tabs
https://docs.google.com/document/d/1sd9EVERCtRWKvnJXnP3iZ83fM3FLwDbjiyfMkaKWEYk


Google Chrome ships new feature to increase battery life by up to 2 hours
https://news.thewindowsclub.com/google-chrome-ships-a-new-feature-to-increase-the-battery-life-101417/


Chromeでタブウィンドウを非アクティブにしている場合、バックグラウンドでさまざまなJavaScriptのタスク処理が実行され、不要な電力消費が発生します。このバックグラウンドでのタスク処理を減らすことで、PCの電力消費を抑え、バッテリーの駆動時間を延ばすというのが、Googleが行っている取り組みです。


Chromium開発チームによれば、、人気サイトをバックグラウンドで表示したときに行われている多くのタスク処理がJavaScriptタイマーによるものだとのこと。しかし、スクロール位置のチェックやログの報告、広告とのやりとりの分析など、JavaScriptタイマーに関するタスクの多くは、ユーザーにとって価値がないものだそうです。

そこでChromium開発チームは、JavaScriptタイマーに基づいてバックグラウンドのスリープ解除を行う「ウェイクアップ」の頻度を、「1秒に1回」から「1分に1回」に制限することを考案。開発チームは実験として、2018年モデルの15インチMacBook Pro(Intel Core i9 2.9GHz、32MB RAM、macOS 10.14.6)を使い、ブラウザで空白タブを表示させた上で、そのバックグラウンドで18種類のウェブサイトを2タブずつ開いたままにし、バッテリーが100%から0%になるまでの時間を、条件ごとに3回ずつ計測しました。

以下のグラフは、JavaScriptタイマー制限前のChrome、制限後のChromeSafari 13.1でのバッテリー残量の推移を示したもの。タイマー制限前(No Change、青線)の方が、制限後(Throttling、赤線)よりもバッテリーの減りが早いことがよくわかります。なお、灰色の線はChromeではなくSafari 13.1で同様の操作を行ったものです。


また、同じデータを表にまとめたものが以下。列は左からバッテリーが切れるまでの平均時間、最短時間、最長時間となっています。JavaScriptタイマー制限後のバッテリーは制限前と比べて2時間ほど長く持ち、駆動時間が28%延長したことがわかりました。


開発チームはこの結果を受けて、2020年9月以降にリリースされる予定のChrome 86から、JavaScriptタイマーのウェイクアップ頻度を制限できる機能を実際に搭載する予定だと発表しました。なお、この機能は、開発者向けビルドであるChrome Canaryで体験することが可能です。

Chrome Canaryを入手するには、以下のサイトから「Chrome Canaryをダウンロード」をクリックし、EXE形式のインストーラー(容量1.23MB)をダウンロードします。

Chrome Canary
https://www.google.com/intl/ja/chrome/canary/


保存したChromeSetup.exeを起動すると、自動でインストールが始まります。


インストールが終了すると、自動でChrome Canaryが起動します。記事作成時点でのバージョンを確認したところ、86.0.4195.0でした。


アドレスバーに「chrome://flags」と入力してエンターキーを押すと、試験運用版の機能一覧が表示されます。


検索欄に「Throttle Javascript timers in background」と入力して絞り込むと、JavaScriptタイマーの制限機能が表示されました。


右のプルダウンから「Enabled immediately when a tab is hidden(facilitates testing)」を選択し、「Relaunch」をクリックすると、Chrome Canaryが再起動し、制限機能が有効化されます。


Windows関連のニュースサイト・TheWindowsClubによれば、Chromium版EdgeCanaryビルド・バージョン86.0.569.0でも、JavaScriptタイマーのウェイクアップ頻度を制限する機能を試すことができるそうですが、Chromium版Edgeの正式版にも搭載されるのかは記事作成時点では不明です。

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in ソフトウェア, Posted by log1i_yk

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