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大学教員の4分の3以上が「大学再開計画に反対」する事態がアメリカで発生


アメリカのジョージア州アトランタに拠点を構えるジョージア工科大学は、世界大学総合ランキング工学部門で第7位に君臨するアメリカ屈指の名門校です。そのジョージア工科大学で、教授ら800人以上が大学当局の学校再開計画や、マスクの着用を義務づけない方針に異議を唱えていることが分かりました。

Statement of Academic Faculty of Georgia Tech on the COVID-19 Crisis and Fall 2020 Semester
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdjyLGfLIncWtm8fntduj3mMhZhhGtF2khGYHNJdZIXu1xBhg/viewform

Georgia Tech won't require students to wear masks on campus. Faculty aren't happy - CNN
https://edition.cnn.com/2020/07/05/us/georgia-tech-reopening-no-masks/index.html

Georgia Tech Professors Revolt Over Reopening, Say Current Plan Threatens Lives Of Students, Staff | Georgia Public Broadcasting
https://www.gpbnews.org/post/georgia-tech-professors-revolt-over-reopening-say-current-plan-threatens-lives-students-staff


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が落ち着いた地域では、閉鎖されていた学校や職場、商業施設などが段階的に再開され、人々の暮らしが元通りになりつつあります。しかし、COVID-19感染者数が世界最多のアメリカでは、2020年7月2日に1日当たりの新規COVID-19感染者数が5万5000人を超えたことが確認されるなど、収束の見通しがつかない状況にあります。

そんな中、ジョージア工科大学の教員らは7月2日に、「COVID-19危機と2020年秋学期に関するジョージア工科大学教学部の声明」を連名で発表し、その中で同学の再開計画に対する懸念を表明しました。声明には、2020年7月5日の時点で827人の大学教授らが署名しています。地元の公共放送局Georgia Public Broadcasting(GPB)によると、ジョージア工科大学には補助的なスタッフを含めて合計1100人の教員が所属しているとのことで、実に全体の4分の3以上が声明に署名したことになります。


声明の中でジョージア工科大学の教員らは、「本学は2020年秋学期の再開を目指して準備を進めています。しかし、大学当局が打ち出した再開計画は学外のガイダンスに基づいており、私たちの意見の反映はごく限定的でした。私たちは、ジョージア工科大学の理事会が科学的根拠に基づく意見を軽視し、教職員、学生、スタッフの健康リスクを増大させるような計画を立てていることを憂慮しています」と述べて、大学当局に対し以下の4つの対策を行うよう求めました。

・大学をとりまくコミュニティの健康と安全を守る施策を講じることができるよう、ジョージア工科大学の学長に独立した権限を与えること。
・感染症のリスクを低減させるため、2020年秋学期の授業はリモート講義を基本とすること。
・キャンパスを利用する学生の数が限定的であっても、学生らが学内の研究室やそのほかの専門的な設備にアクセスできるようにすること。
・学内のあらゆる場所でマスクの着用を義務づけ、大規模なCOVID-19検査を実施し、新規感染症に関する接触追跡を徹底すること。

アメリカにある50の州のうち、ジョージア州を含む31州では公共の場所におけるマスク着用が義務づけられていません。こうした州政府の決定に基づき、ジョージア工科大学の大学再開計画でも、教員や生徒にマスクの着用を義務づけない方針とのこと。


マスク着用を義務化しない方針について、ジョージア工科大学で化学および生化学を教えているセス・マルダー教授は「ジョージア工科大学のコミュニティに大きな健康リスクを与えており、無責任です」と非難しています。州政府ではジョージア工科大学の安全を最優先にした判断ができないため、マルダー教授らは大学の理事会に対し、学長に決定権を移譲するよう求めています。

ジョージア工科大学のアンヘル・カブレラ学長はCNNの取材に対し「私たちは教員らとこまめにミーティングを行い、最良の指導方針を模索してきました。さらに、我が校の教員たちはキャンパス再開に向けて、教育以外の側面にも気を配っています」とコメントしました。

また、ジョージア工科大学で20年以上にわたり心理学を教えているRandall Engle教授は「私は働き続けたいですが、同時に生きたいです。私は今秋に74歳になります。生徒でごったがえした教室の中で誰か1人でもCOVID-19に感染していれば、それだけで私はCOVID-19のリスクにさらされてしまうでしょう」と訴えました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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