謎の「象の大量死」が続く、確認された死骸は350頭超
アフリカ南部のボツワナ共和国で350頭以上のゾウが不審な死を遂げるという事件が発生しています。その原因として真っ先に挙げられる密猟や炭疽(たんそ)菌の可能性は否定されているとのことです。
Botswana probes mysterious death of 12 elephants
https://phys.org/news/2020-05-botswana-probes-mysterious-death-elephants.html
Hundreds of elephants dead in mysterious mass die-off | Environment | The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/2020/jul/01/more-than-350-elephants-dead-in-mysterious-mass-die-off-botswana-aoe
2020年5月上旬、ボツワナ北部に位置するカラハリ砂漠のオカバンゴ・デルタでゾウ12頭の死骸が見つかりました。ボツワナ観光省が調査に乗り出しましたが、記事作成時点で死因は不明とのこと。全ての死骸は無傷で象牙が残されていたことから、「密猟」の可能性は否定されました。
ゾウの不審死はその後も続発し、5月末の段階では169頭、6月中旬には350頭に達しました。匿名の情報提供者によると、ゾウの死骸の70%は水飲み場近辺で発見されたとのこと。
この大量死はオカバンゴ・デルタ内だけで確認されている現象です。全ての年齢およびメス・オス両方のゾウの死骸が確認されており、ゾウの神経障害の兆候を示す「円を描いて歩き回る」行動の目撃例が報告されていることから、専門家は「前例のない自然現象」の可能性もあり得ると回答しています。所見によると、一部の死骸には急死した兆候が見られていますが、その他の死骸には周囲をうろついてから死んだ後が残されていることから時間を掛けて死に至ったと見られており、専門家は死に至るまでの過程が一致しないとして、詳しい検査が必要だと主張しています。
しかし、2020年5月末に確認されたこの大量死は、7月に至ってもサンプル検査が行われていません。その原因について、ボツワナの国立公園・野生生物局のシリル・タオロ局長代理は「新型コロナウイルス感染症による輸送制限が原因で、検査機関にサンプルを送るのが難しい状況です」と回答。「7月中旬までに検査結果が出れば」と述べました。
自然環境や文化財を観光の対象にするエコツーリズムは、ボツワナのGDPの10~12%を占めており、ダイヤモンドに次いで国内2位の規模の産業です。今回の不審死が発生したオカバンゴ・デルタにはボツワナ全体の10%である約1万5000頭のゾウが生息しており、不審死が続けばボツワナの観光産業が打撃を受ける可能性も指摘されています。
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