1700年以上前のボードゲームで使われていたサイコロは細長かった
古代ローマが栄えていた時代に遊ばれていたボードゲームのものと思われるサイコロや駒などが、墓地の遺跡から出土したことをベルゲン大学博物館が報告しています。発掘されたサイコロは現代において一般的な立方体のサイコロではなく、細長い棒状の形をしていました。
Gaming in the Roman Iron Age | Department of Cultural History | University of Bergen
https://www.uib.no/en/culturalhistory/135652/gaming-roman-iron-age
Ancient Roman dice unearthed in cremation pit in Norway | Live Science
https://www.livescience.com/ancient-game-pieces.html
Fant 1700 år gammelt spill i gravhaug – NRK Vestland
https://www.nrk.no/vestland/fant-1700-ar-gammelt-spill-i-gravhaug-1.15002850
ベルゲン大学博物館の研究チームは、ノルウェーのイトレフォッセで墓地の遺跡を発掘していました。遺跡からは、遺骨や陶磁でできたポット、焦げたガラスのほか、18個の丸いゲームの駒らしきものと細長いサイコロが発見されました。出土品は紀元300年頃のもので、ローマ帝国が存在した1~4世紀頃に使われていたと推測されています。
サイコロの長さはおよそ6cmほど。
サイコロは四角柱に近い形をしており、確認できる限りでは側面ごとに模様が6つ、4つ、3つと異なる数描かれていました。もう1面は何も描かれておらず、もともと模様がなかったのか、長い年月の中で風化して消えてしまったのかは明らかになっていません。模様が6つの面は両端に3つずつ。
4つの面は両端に模様が2つずつ。
3つの面は中央に模様が描かれています。
ベルゲン大学博物館の声明によると、発見された遺物は9世紀~11世紀頃に西ヨーロッパ沿海部を侵略したヴァイキングが好んで遊んでいた「ネファタフル」の前身、Ludus latrunculorumに近いボードゲームである可能性が高いとのこと。
Ludus latrunculorumは1対1で行われるチェスに近いボードゲームであると推測されていますが、本来のルールは明らかになっていません。発見されている文献などからルールが再構築されており、ドイツのキンタナ博物館で復元されたLudus latrunculorumも実際に遊ぶことができるようルールやゲームボードが作成されています。
発掘調査を指揮したベルゲン大学博物館の研究者、モーテン・ラムスタッド氏は「古代においてボードゲームは社会における地位の象徴であり、知的かつ戦略的な思考の基本的な能力を示すものでした」と述べています。ラムスタッド氏によると、古代のスカンジナビアでは上流階級の人々だけがボードゲームをプレイしていたため、遺物が発見された墓場は権力者のためのものであったと推測されています。
また、墓場の遺跡が発見されたイトレフォッセは海峡に面しており、かつては古代スカンジナビアの海路として栄えていました。「イトレフォッセの山地には墓碑が点在しています。通信や交易に重要な海路の周りに墓を配置することは、上流階級の人々が政治的な権力と支配を示す手段の1つでした」とラムスタッド氏はコメントしています。
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