科学的に裏付けされた「生産性を爆上げするスマホとの付き合い方」の3つのポイント

「人は生涯のうち30年以上をスマートフォンなどの画面を見て過ごす」と指摘されているとおり、スマートフォンは現代人の生活とは切っても切り離せない製品です。そこで、科学系メディアのInverseが複数の科学的な調査の結果をもとに、生産性の高いスマートフォンの使い方を3つにまとめました。

3 science-backed smartphone tips to actually boost your productivity
https://www.inverse.com/innovation/how-to-use-your-smartphone-to-actually-boost-your-productivity

◆1：メールはまとめて見る

クイーンズ大学スミス・スクール・オブ・ビジネスのShamel Addas氏は、電子メールのチェックが仕事の能率にどんな影響を与えるかを調べるため、顧客からの連絡を頻繁に受けるB2B(企業間取引)の営業担当者365人を対象とした調査を行いました。

その結果、自分の担当業務に関係がないメールで仕事が中断されると、ストレスレベルが高まりパフォーマンスも低下した一方で、関係があるメールでの中断ではストレスレベルは高まるものの、パフォーマンスはむしろ向上したという結果が得られました。

Addas氏は調査結果について、「メールを読むと、仕事に重要な情報が得られる場合があります。そのため、メールによる作業中断自体は悪いことばかりではないといえますが、その影響が蓄積されると疲労やストレスにつながることもあります」と述べて、メールをチェックする弊害を最小限に抑えるために、メールは一括で処理するべきだと指摘しました。

◆2：休憩にスマートフォンを活用
カンザス州立大学で心理学を研究しているSooyeol Kim氏らの研究チームは、さまざまな業種で働く72人のフルタイム労働者に協力してもらい、勤務中のスマートフォンの使用状況をモニターしつつ、終業後に幸福度について回答してもらう調査を実施しました。

調査の結果、研究に参加した労働者らは1日を通して数回、FacebookやTwitteをチェックしたり、「Angry Birds」や「Candy Crush」といったゲームアプリをプレイしたりする「マイクロブレイク(小休憩)」を取っていたことが分かりました。こうしたマイクロブレイクの時間は8時間の就業時間のうち、平均22分間でした。また、マイクロブレイクを行っている従業員は、行わない従業員に比べて幸福度が高かったとのこと。

Kim氏はこの結果について「例えば、勤務時間中に1時間もゲームをやれば間違いなく仕事のパフォーマンスが損なわれます。しかし、1日を通して1～2分間のマイクロブレイクをとって短時間ゲームをしたり、友人や家族と交流したりすると、従業員はストレスから解放され心をリフレッシュすることができます」と話しました。

就労している大学生を対象とした別の研究でも、仕事中のネットサーフィンやSNSのチェックは職場への満足度や生産性を向上させることが分かっています。

仕事中のネットサーフィンやSNSチェックは職場への満足度を上げて生産性を向上させる可能性がある - GIGAZINE

◆3：スマートフォンの夜間使用を避ける
ミシガン州立大学経営学部の准教授であるラッセル・ジョンソン氏らの研究チームは、企業の上級管理職82人と製造業から歯科医師までさまざまな仕事に就いている人161人の計243人を対象に、2週間にわたりスマートフォンの使用状況と仕事のパフォーマンスの関係を調べる研究を行いました。

その結果、21時以降に仕事上の理由でスマートフォンを使用していた人は、翌日の仕事で疲れやすく、仕事にも身が入っていないことが分かったとのこと。また、スマートフォンがもたらすマイナスの影響は、PCやタブレットよりも大きなものでした。

夜にスマートフォンを使用することは、単に睡眠時間を削ってしまうだけでなく、スマートフォンが発するブルーライトにより睡眠を促すメラトニンというホルモンの働きが阻害されることにもつながります。

ジョンソン氏は「スマートフォンは睡眠を乱すにはうってつけの装置といっても過言ではありません。従って、スマートフォンはもろ刃の剣になりうるといえます。その日の仕事を先延ばしにするのは悲惨な結果をもたらすかもしれませんが、大抵の場合は睡眠を優先するのが最善の策ではないでしょうか」と話しました。