「ついついスマホをいじってしまう」状態を解決する3つの方法を元Googleのデザイナーが解説するムービー
多くの人がスマーフォンでアプリやSNSなどを使っており、モバイル端末でのSNSユーザー数は29億人を超えています。そんな中で、「ついついスマーフォンで時間を浪費してしまう」という人も多いはず。その原因についてVox.comは、アプリやSNSなどには「ユーザーに注目される仕組み」が使われているためだとムービーで解説しています。
It’s not you. Phones are designed to be addicting. - YouTube
スマートフォンのユーザーは25億人を超えており、多くの人が熱中しています。
その原因は、多くの人の「注意をひきつける」ことが利益に結び付くものであり、そこに「注目をひきつけるデザインや機能」の仕組みを取り入れているからです。
その仕組みを理解すると、携帯電話を使いながら、より健康的な生活が送れるかもしれません。
「私は、世界は20億人の視聴者が見る『トゥルーマン・ショー』の世界の中で暮らしているようなものだと思っています」
この映画では、ジム・キャリー演じる主人公の人生は全て「テレビ番組」として放送されており、周りの人物は家族を含めて俳優であるという世界が描かれています。そして主人公の人生は、全てテレビで見られています。
この映画のように、スマートフォンユーザーは、自覚のないまま予定調和のエンターテインメントに巻き込まれているとのこと。
このことを語るのは、元Googleのデザイン理論学者で、現在は非営利団体を運営しているTristan Harris氏。
ムービーのスタッフは、自分のスマートフォンをHarris氏に渡し、「注意をひきつける仕組み」を取り除いてもらいます。
◆方法1:人以外からの通知をオフにする。
スマートフォンでは電話やメール、SNSなど多くの通知が私たちの注意をひきます。また、SNSでは友人関係など「社会な相互関係」を利用します。例えば、Facebookは、ユーザーの興味がありそうなイベントがあるとそのユーザーの「友人」にそれを知らせます。
知らない間に友人は、ユーザーにそのことを知らせるために通知を送ります。この仕組みにより通知が表示され、ユーザーの注意をひきます。
プッシュ通知は2003年にBlackBerryの端末でメールに使用されたのが始まり。これによりメールの受信ボックスの頻繁なチェックや整理の手間が省けました。
しかし、現代のスマートフォンはどうでしょうか?現代のスマートフォンのプッシュ通知は、アプリやSNSなどで人間からではなく「スマートフォンからの広告の通知」です。
Harris氏によると、この仕組みより、興味のある通知とない通知が「ランダムに表示される」状態になります。
Harris氏によると、この状態はスロットマシンに似ているとのこと。
アメリカでは、スロットマシンは野球と映画、そしてテーマパークの業界を全て合計したものよりも多くの利益を生み出しています。そして、スロットマシンは他のギャンブルと比較して中毒状態に陥る速さが3~4倍とのこと。
いくつかのアプリは「指を引く動作」により更新する機能を取り入れています。この動作が「スロットマシンのレバー」と似た効果をもたらし中毒性が増すといいます。
研究によると、同じ量のプッシュ通知でもその頻繁をコントロールするとストレスが減るとのこと。
1日で通知をまとめて3回通知されるように設定した被験者がストレスが低いという結果が示されました。
◆方法2:画面をグレースケールに設定する。
目の行方を追うアイトラッキングによると人間の目は、暖色系の色に敏感な傾向があります。
その傾向に合わせるかのように、アプリサービスのアイコンは暖色系の色に変更されています。
また、通知のバブルは「赤色」で表示されています。たとえば他の色に変えてみると、赤色は目立つのがよくわかります。
このような現象を逆手に取り、注意を引かない色で画面を表示させることで、スマートフォンに注意をそがれることを軽減できるとのこと。しかし、アイコンを数個の色を変更するだけでは効果が薄いので、画面全体にグレーのフィルターがかかった状態にすることで、効果を高められます。
Harris氏によると、鮮やかな配色はスロットマシーンの点滅のような効果があるとのこと。
これらの配色は、知覚にインプットされ常習性を生み出すので、画面を灰色の色調にすることで、これを防ぐことができるそうです。
◆方法3:毎日の生活に使うツールだけホーム画面に残すように制限する。
Harris氏のスマーフォンの画面には、カレンダーとマップアプリぐらいしか置かれていないとのこと。他のアプリはユーザーの時間を「底がない渦」のように吸収するといいます。
多くのアプリでは「無限のスクロール」が続き、新しい情報に終わりがありません。
この仕組みは動画サイトのオート再生機能も同じ。
このインターフェイスはユーザーに「摩擦感のないエクスペリエンス」を提供することで次々に動画を再生させるよう仕向けると同時に、ユーザーが自分のコントロールでスマートフォンを止めることを困難にします。そして、内容より視覚的な刺激を求める傾向になるとのこと。
2005年の研究では、食べても食べてもスープが器の底からわき出してくる「自動でスープが湧き出す器」があるとき、人は手動でスープを器に注いだ時よりも約73パーセント多くスープを食べたことが示されています。つまり、人間の感覚は見た目で「終わり」を目にすることで、その行動を制限する特性があるということを意味しています。
多くのアプリではこの「終わり」が設定されていないので、注意を引きつけられてしまわないホーム画面を用意しておく必要があるというわけです。
多くの人が、自分のスマートフォンへの使用頻度を過小評価しています。
しかしテクノロジーは常に、ユーザーが選択して、時間を消費する新しい方法を常に探しています。
Harris氏は、「しかし、これは深くて哲学的な質問です。あなたがそれに注目する価値がありますか?中断できますか?人々は、この質問に答える方法を知ってるのではないでしょうか?これは、実に難しい質問であり、考えるまでもない質問です」と問いかけています。
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