ハードウェア

回路をいじって10年前のノートPCの「ACアダプター識別機能」を自力で回避してしまった猛者が現る


バッテリーを搭載しているおかげで電源が確保できない場所でも使えるのがノートPCの利点の1つ。しかし、古い機種だと問題に見舞われて、その利点を活かせないこともあります。ドイツのシュトゥットガルトのコミュニティである「Project-insanity」のブログに、10年前のノートPCの電源トラブルを自ら回路に手を入れて修理してしまう様子が投稿されています。

Hardware fix for Dell “AC power adapter could not be determined” – project-insanity.org
https://blog.project-insanity.org/2020/05/25/hardware-fix-for-dell-ac-power-adapter-could-not-be-determined/

記事を投稿したonny氏は2010年発売のDellのノートPC「Latitude E6410」を愛用してきましたが、数カ月前からACアダプターで充電できなくなってしまったとのこと。他のメーカー製のACアダプターを使ってみると、給電はできるようになったもののバッテリーへの充電はできず、BIOS上に「ACアダプターを認識できません」とエラーが表示されたそうです。

エラーの原因についてonny氏が調査すると「ACアダプターを制御するチップに追加のピンが搭載されている」という情報を発見。このピンにより、ノートPCが正規のACアダプターと接続されているかどうかを識別し、正規品以外では機能が制限されることがわかりました。純正ACアダプターを識別するための通信には1-Wireというデータ転送規格が用いられているとのこと。

他メーカーのACアダプターを「Dell純正」のACアダプターとして認識させるために、onny氏は他メーカー製ACアダプター電源線をノートPCへの電力供給用に、Dell純正ACアダプターのデータ線を識別用のピンに接続させることに。下の画像では、他メーカー製ACアダプターに赤枠の細いデータ線を結合している様子がわかります。


電源線とデータ線を結合した全体像はこんな感じ。データ線はACアダプターのプラグ中央部分にある細いピンから露出しているので、そこからデータ線を延長していることがわかります。ただし、この方法ではACアダプターを2つ持ち歩かなければなりません。


次のステップとして、onny氏は純正ACアダプターのケースを分解してみることに。


ACアダプターの基盤には赤、青、黒のケーブルがつながっており、このうち青のケーブルがデータ線とのこと。


データ線がつながっていたのは「DALLAS 2051」という名前のチップ。1-Wireプロトコルを開発したMaxim製のチップです。


この「DALLAS 2051」をノートPCに直接つなげてしまえばいいと考えたonny氏は、ノートPCのマザーボード上の回路を解析し、データ線が行き着く部分を特定。マザーボードにチップをはんだ付けし、チップから直接マザーボードに「純正ACアダプターが出す信号」を送ることに。


他メーカーのACアダプターをつなげてみると、見事に充電に成功。どんなACアダプターでも充電できるようになったとのこと。BIOSはノートPCにはんだ付けしたチップから直接「Dell純正ACアダプター」としての情報を取得しているとonny氏は説明しています。


なお、この手法でノートPCを改造した場合の注意点もあります。チップを直接はんだ付けしており、どんなACアダプターでもDell純正ACアダプタ-の仕様である「90WのACアダプタ-」と認識するため、異なる仕様のACアダプターを接続するとオーバーヒートしてしまう可能性があるとonny氏は語っています。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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