ネットサービス

Twitter・Facebook・Dropboxなど成功を収めたウェブサービスが最初のユーザーを獲得した7つの戦略とは?


成功を収めたウェブアプリやネットサービスが、どのようにしてリリース開始から1000ユーザー超えを果たしたのかを投資家のレニー・ラチツキー氏が調査したところ、ほとんどのサービスが1~3つの戦略を実行してユーザーを獲得していたことが判明しました。各サービスの戦略は大きく7つに分類することができ、それぞれのサービスが実際にどんな方法でユーザーを獲得したのかが、ラチツキー氏によってまとめられています。

How the biggest consumer apps got their first 1,000 users - Issue 25 - Lenny's Newsletter
https://www.lennyrachitsky.com/p/how-the-biggest-consumer-apps-got

ラチツキー氏によると、7種類の戦略がすべてのサービスの初期成長を支えているとのこと。ほとんどのサービスが1種類の戦略で初期ユーザーを獲得しており、多くても3種類の戦略で成功を収めています。

1:ターゲットがオフラインで集まる場所で宣伝する
2:ターゲットがオンラインで集まる場所で宣伝する
3:友人を招待する
4:FOMOを利用する
5:インフルエンサーを活用する
6:メディアに働きかける
7:プライベートコミュニティを活用する


◆1:ターゲットがオフラインで集まる場所で宣伝する
フードデリバリーサービスのDoorDashは、パロアルトにあるレストランのメニューをPDF化しただけのウェブサイトから始まりました。DoorDashの開発チームは配送料6ドル(約650円)と書いたチラシを大量に印刷し、スタンフォード大学の至る所に掲示。中食が増加傾向にあったこともあり、着実にユーザー数を増やしました。

マッチングアプリのtinderは大学生をターゲットとし、大学のキャンパスを中心にマーケティングを行いました。tinderは南カリフォルニア大学の社交クラブを対象に売り込まれ、「相手が自分に興味を持っているかどうかを知ることができる」という点がヒットしユーザー数の拡大につながりました。


写真共有アプリのSnapchatは、創設者のエヴァン・スピーゲル氏が自らショッピングモールなどに赴き、チラシを配ったり、道行く人に1対1でSnapchatのチュートリアルを行ったりするなど地道な宣伝を行いました。スピーゲル氏が相手のスマートフォンにSnapchatをダウンロードしてあげることもあったそうです。Snapchatの歴史をまとめた本「How to Turn Down a Billion Dollars: The Snapchat Story(10億ドルを断る方法:Snapchatの物語)」の中で、スピーゲル氏は「ユーザーを獲得するためなら何でもやってみようと思っていました」と語っています。

ハンドメイド作品のeコマースアプリであるEtsyの開発チームは、アメリカ中で行われたすべてのクラフトフェアに足を運んでEtsyの売り手となるユーザーを募集しました。クラフトフェアに出品するような売り手を集めることは、結果として売り手のファンである買い手もEtsyに勧誘することにつながっています。


配車アプリ、Uberの開発チームは配車サービス需要の大きい駅などでアプリの紹介コードを配り、徐々にユーザー数を増やしていきました。

同じく配車アプリであるLyftの開発チームは、個々のユーザーではなく企業に対して宣伝を行っています。開発チーム全員から小規模なスタートアップ企業の連絡先を集め、各企業に許可を得てサンフランシスコの人気店、バイライト・クリーマリーのアイスクリームを無償で配達することで、Lyftの名前と信用を広めていったとのこと。

画像共有ウェブサイト、Pinterest創設者の1人であるベン・シルバーマン氏はインタビューの中で、「正直、かなり必死なことばかりしていました。よくApple Storeに行って、すべてのPCの画面ををPinterestのページに変えていました。周りに『Pinterestってのは本当に流行してるんだな』って思わせてましたね」と語っています。


◆2:ターゲットがオンラインで集まる場所で宣伝する
Dropbox創設者のドリュー・ハウストン氏は、2007年4月にHacker NewsでDropboxを紹介する簡単なムービーを公開しました。以下が2007年4月に公開されたものと同じ内容のムービーです。このムービーがきっかけとなり、Dropboxはユーザーの獲得に成功しました。

What is Dropbox? Explained! Original Dropbox Video [HD] - YouTube


ショートムービー投稿サイトのTikTokが成功した秘訣は長いアプリ名にありました。TikTokが登場して間もない頃は「TikTok」という名前ではなく「make awesome music videos with all kinds of effects for Instagram, Facebook, Messenger」(Instagram、Facebook、Messengerのためのあらゆる種類のエフェクトを使った素晴らしいミュージックビデオを作ろう)という、とても長い名前で売り出されていたそうです。既知のアプリ名を使うことで、検索エンジンからヒットしやすくなり、多くのユーザーを獲得しました。

Netflixは、社員がホームシアター愛好家や映画ファンを装って映画ファンのコミュニティに加わり、数カ月かけて主要なメンバーの信頼を獲得してから、ゆっくりと時間をかけてNetflixの宣伝を行っていたとのこと。

約9カ月で10万人を超えるユーザーを獲得したBufferは、他社のブログに寄稿するゲストブログを行うことで宣伝を行いました。約150本ものゲストブログは、数を重ねるごとに多くのユーザーの注目を集め、着実にユーザー数を増やしていきました。創設者のレオ・ウィドリッチ氏はインタビューで「適切なゲストブログの投稿頻度を見つけられるようになるまでには少し時間がかかりました」と語っています。


◆3:友人を招待する
チームコミュニケーションツールのSlackは、創設者であるスチュワート・バターフィールド氏がインタビューで「アプリを他社に勤める友人に試してもらい、フィードバックをくれるようお願いしました。最初に協力を得られた会社は6~10社くらいだったと思います。大きなグループでSlackを共有してもらい、チームを増やすことでユーザーだけでなくフィードバックも増やしていきました」と語っています。

Facebookは、リリース直後に開発チームの友人たちにサービスを使ってもらうことでユーザーを増やしました。最初に約300人が登録するメーリングリストにFacebookを宣伝したところ、人から人へとFacebookが広まり、メーリングリストに告知してから24時間以内に1200人以上ものユーザーを獲得しました。

LinkedInは創始者のリード・ホフマン氏の人脈を使い、成功している友人のみをピックアップしてLinkedInを使ってもらうことで、リリース直後のユーザー獲得とイメージアップを両立して実行しています。


◆4:FOMOを利用する
「FOMOを利用する」というのはつまり、「サービスを使っていないのは自分だけ?」と不安をあおり、周囲に便乗させる形でユーザーを獲得するということです。

Instagramの創設者、ケビン・シストロム氏はInstagramの創設を語る講演の中で「一番大きかったのは、Instagramのプロトタイプを作成してテストしているときに、Twitterのフォロワー数が多い人たちに試用してもらったことだと思います。影響力のある人がTwitterでシェアしてくれたことで、『Instagramはいつリリースされるんだろう、いつ遊べるんだろう』という緊張感が多くの人々に生まれ、実際にリリースされた日には、Twitterでの宣伝がバネになっていい結果をもたらしました」と語っています。

メール管理アプリであるMailboxは、一時期70万人以上のユーザーが登録待ちをするほどの人気でした。表向きはMailbox側がユーザーの需要を管理するための仕組みですが、ユーザーの多さを宣伝材料にするマーケティングの策略であるとも考えられています。なお、Mailboxは2016年2月26日でサービス終了を迎えています。

Spotifyは、リリース直後は新規ユーザー登録に招待制を採用していました。招待制を採用することで、Spotifyの成長レベルを管理するのに役立っただけでなく、ユーザーからユーザーへと口コミが広がっていきました。


◆5:インフルエンサーを活用する
作品投稿サイト、Product Huntの創業者たちは、最初のユーザーとしてTwitterのフォロワー数が多く、経歴の優れたデザイナーに声をかけました。多くのユーザーに宣伝できるだけでなく、誰が見ても良いコンテンツを作成してもらうことで、Product Huntの芸術性を確立しました。

以下はTwitterリリース直後のユーザー数の変動を示したグラフで、縦軸はユーザー数、横軸は日付を表しています。2006年7月13日に投稿された起業家のエヴァン・ウィリアムズ氏のブログと、2006年7月15日に投稿されたオム・マリク氏の記事で大きくユーザー数を伸ばしています。


◆6:メディアに働きかける
InstagramはPR会社を利用するのではなく、報道機関に直接コンタクトを取り、リリースに向けて多くの取材を依頼しました。「初めはInstagramを気に入ってくれそうな人たちに取材のお願いをすることをためらっていました。しかし、ニューヨーク・タイムズに連絡を取ったところ、Instagramに興味を持ってくれただけでなく、私たちと会うために記者を手配してくれたのです。2010年10月のリリース日には、ほぼ同時期に報道陣の取材が入り、サーバーが大打撃を受けるほどのアクセスがありました」と語っています。

宿泊施設仲介サービスであるAirbnbの転機となったのは、2008年にデンバーで開催された民主党全国大会(DNC)です。当時大統領候補であったバラク・オバマ氏に注目が集まっていたこともあり、DNCに例年の4倍以上の人が参加したため、宿泊施設が大規模に不足していました。Airbnbが宿泊施設を探しあぐねた報道関係者や民主党支持者の目に留まったことにより、Airbnbの利用者が拡大しました。

しかし、DNCによるAirbnbの利用拡大は1週間ほどしか続きませんでした。その後、Airbnb設立者であるジョー・ゲビア氏とブライアン・チェスキー氏の2人は、オバマ氏とジョン・マケイン氏の顔をデザインした朝食用シリアルをオークションサイトで売りながら細々と経営を続けていったとのこと。


◆7:プライベートコミュニティを活用する
Product huntの創設者であるライアン・フーバー氏はインタビューの中で「Product huntの完成版が出来上がったとき、支援してくれた人たちにProduct huntの完成版のリンクをメールで送って実際に使用してもらいました。その日のうちに30人のユーザーを獲得し、約1週間後にはユーザーが100人近くまで増加していました」と語っています。

プログラミング技術などのQ&Aサイト、Stack Overflowの創設者であるジョエル・スポルスキー氏とジェフ・アトウッド氏はともに、オンライン活動のフォロワーからなる大規模なコミュニティを持っていました。2人はStack Overflowをコンテンツが何もない状態で始めることをよしとせず、コミュニティメンバーにベータ版への参加を呼びかけ、コンテンツがある程度集まった状態でStack Overflowを一般公開しました。


上記で挙げた7つの方法は、あくまでスタートアップのアプリが1000人までユーザーを獲得した方法です。ラチツキー氏は、「最初の1000ユーザーを獲得するための戦術は、1万ユーザーを獲得する戦術とは大きく異なります」と語っています。

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in ネットサービス,   ウェブアプリ, Posted by darkhorse_log

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