メモ

お金も顧客もゼロの状態からプロダクトを開発してお金を稼ぐ方法

by Jack Skipworth

知名度ゼロ、資金ゼロ、実績ゼロ、コネクションもゼロ、という状態からプロダクト開発をスタートし、実際に収益を上げることができたChris Mason氏が、技術者が陥りやすいプロダクト開発の罠と、「どのようにしたら収益を生み出すプロダクトを作ることができるのか?」ということを経験に基づきブログでつづっています。

How to Launch a Product With No Money and No Customers – Chris Mason – Indie Hackers
https://www.indiehackers.com/@cmason/how-to-launch-a-product-with-no-money-and-no-customers


WordPress向けのeコマースのプラグイン「WooCommerce」をより使いやすくする「WooCurve」の創業者であるChris Mason氏とパートナーのBogdan氏は、会社の設立当初、「無名で、実績もなく、ウェブサイトもなく、お金も、メールリストもない状態で、どのようにしてプロダクトをリリースして潜在的なカスタマーにお金を払ってもらうことができるのだろうか?」ということに頭を悩ませていました。

しかし、Mason氏とBogdan氏の2人は、「One Click Upsells」というプラグインを販売することで30日以内に売り上げゼロの状態から1000ドル(約11万円)の売り上げを生み出すことに成功。では、2人は実際に何をしたのでしょうか?


◆ハングリーマーケットを見つける

by Nine Köpfer

「自分自身でビジネスを始めたい」と思ったMason氏は、安定した会社生活を捨て、自立した開発者への道を歩みます。しかし、会社を辞めてから18ヶ月で4つのプロダクトを作ったものの、全て失敗し、資金が尽きてしまったとのこと。

そこでMason氏は「プロダクトを作りたい」という思いを抱きながらも、一時的にプロダクト開発をやめ、コンサルティングの仕事を始めます。もともとMason氏は宣伝文句を作り出し、顧客が商品を購入するまでのマーケティングオートメーションを生み出すことを専門職としていました。そして、このコンサルティングの仕事が、商品開発とお金を結びつけるために役立ったそうです。


Mason氏によると、効率のいいマーケティングファネルを作り出すために最低限必要な要素は、以下の通り。

・販売するのに望ましいプロダクトもしくはセールス
・よい宣伝文句
・チェックアウトページなど購入者から支払い金を集める方法
・アップセリング(高額商品)もしくはダウンセリング(定額商品)の購入をワンクリックで行う流れ

このとき、重要なのは最後の要素で、「ワンクリックで」というところがポイント。クレジットカード情報を何度も繰り返し入力したい人はいないためです。

しかし、WooCommerceのストアを持つ顧客をコンサルティングしてる最中に、Mason氏は自分が使いたくなるようなアップセリング・ダウンセリングのツールが存在しないことに気づきます。WooCommerceのフォーラムやブログ、Facebookのグループなどを調べてもツールは見つからなかったのですが、一方で、自分のようにアップセリング・ダウンセリングのツールを探し求めている人は多く存在したとのこと。「フォーラム上でツールを探している人たちのためにプロダクトを作ったらどうなるだろう?」と思っていたMason氏が、フォーラムを通じて同じ思いを抱いていたBogdan氏と出会ったことをきっかけに、2人でプロダクト開発を行うことにしました。

◆「プロダクトが青信号となるフレームワーク」とは?

by Kat Northern Lights Man

とはいっても、それまでに4つのプロダクト開発に失敗していたMason氏は、「次も失敗するのでは?」という思いを抱いていました。しかし、18カ月の開発の月日の中で、Mason氏は「プロダクトが青信号となるフレームワーク」を作っていたとのこと。これは、はい/いいえで答えられるフレームワークになっており、全ての質問に「はい」で答えられれば、開発を進めていいという印になるといいます。質問は以下の通り。

・プロダクトに需要はあるか?どのようにして需要を知ったのか?
・競業者はいるか?
・今すぐプロダクトにお金を払ってくれる人はいるか?

1つ目の質問は完全にはい/いいえで答えられるものではありませんが、これはアクティブなフォーラムがあるかなどをチェックして、問題を解決しようとしている人々がいるかどうかを調べるため。

以下では実際にMason氏がどのようにフレームワークを使用し、プロダクトをリリースして収益を得たのかが語られています。

1:プロダクトの需要はあるか?
Mason氏が何時間もかけてWooCommerceのフォーラムやFacebookのグループを調べても、多くの人が望むようなワンクリックでアップセリング・ダウンセリングができるツールを見つけ出すことはできませんでした。つまり、「需要」が確かにあることはわかったのです。しかし、どれくらいの需要があるかまではわからなかったとのこと。

2:競争相手はいるか?
この質問には「はい」と答えられるのがベター。競争相手がいるということは、そこにお金を生み出す余地があるということを意味するためです。しかし、競争相手がないとすると、「過去にプロダクトを作ろうとした人がいたものの失敗したのか」というように、なぜ競争相手がいないのかを考える必要があります。自分のアイデアがユニークだと思うなら、そのアイデアを思いついたのが自分だけである可能性はほとんどありません。

Mason氏の求めるツールについて言えば、WooCommerceのマーケットには存在しなかったものの、他のプラットフォームには同様のツールが存在しました。つまり、競争相手は「いた」ということになります。

3:今すぐプロダクトに支払ってくれる人はいるか?
この質問は3つのうちで最も大事な質問であり、他の2つの質問に「はい」と答えられていても、この質問に「いいえ」の答えが出るなら、そのアイデアは諦めるべき。時間の浪費に終わる可能性があります。

しかし、人々に対してお金についての質問をするのは居心地が悪いもの。そこでMason氏の場合は、問題について話し合うフォーラムで「こういうプロダクトを作ろうと思うのですが」と書き込みをし、「ベータテストに協力するためにサインアップしてくれますか?」というフォームのついた簡単なランディングページを公開しました。この結果、ページを公開した最初の週には35人がサインアップしてくれたとのこと。

しかし、覚えておくべきなのは、「プロダクトを買うと言った人」と「実際に購入する人」の間には大きな溝が存在するということ。

Mason氏はサインアップした35人のうち、「お金を生み出す『ビジネス用途』でツールを利用しようとしているように見える人」を調べました。そして、現実世界で即座にフィードバックを送ってくれた10人を、ビジネス目的であると判断。この10人に対してはダイレクトに連絡を取りました。

そして、「リリース1日目」に備えておくべき機能をリスト化し、基礎的なプロダクトの開発に臨みました。そして目標とするところまでプロダクトが到達したところで、10人の潜在的顧客に対してディスカウント価格でプロダクトの販売を行ったそうです。ここで鍵となるのは「ビジネス目的の利用者」であり、「ビジネスとして利用するなら」という考えに従えば、何をすべきかがわかったとのこと。

◆プロダクトをより大きなマーケットで売り出す

by Ragnar Vorel

そしてベータ版のプロダクトを一部の人々の使ってもらい、得たフィードバックを使ってプロダクトの改良を終えたところで、Mason氏はより多くの人々にプロダクトを使ってもらおうと決意します。

Mason氏とBogdan氏は、ワンクリックのツールを導入することで、ユーザーのWooCommerceファネルがいかに価値を増すかというムービーをセールスページに埋め込むとともに、ベータテスターたちの評価をページに表示しました。


ページには、デモムービーも埋め込まれました。


また、先着100人のカスタマーに対してディスカウントを行うキャンペーンを実施。加えて、セールスページへのトラフィックを増やすため、フォーラムやFacebookページで書き込みを行ったほか、Wordpressコミュニティのブロガーたちにレビューを書いて欲しいと頼んだとのこと。お金を支払って広告を買うこともあったそうですが、これはあまり効果がなかったと語られています。一方で、Facebookが行っているリターゲティング広告は、過去も現在も利益を生み出しているとのこと。

◆あなたのビジネスに生かすために
Mason氏は「この記事の読者の多くはマーケットに送り出すプロダクトを生み出す技術と能力を持っています」としながらも、一方で、それは「自分が割くべきより多くの時間をプロダクトに割いてしまう可能性があることを意味します」と語っています。そこで、プロダクトを生み出そうとする技術者はまずMason氏の生み出したフレームワークを使ってプロダクトの是非を検討することを推奨。アイデアを捨てることを恐れずに、自分に正直に質問に答えることを勧めています。

また、「潜在的な顧客が『ノー』と言う速度が速いほど、アクティビティを有益なものに変える速度が速くなる」ということも覚えておくべきとのこと。このとき、顧客が示す「ノー」で最も分かりやすい例が、「お金を払わない」という行為。ノーと言われることを恐れずに実践を繰り返し、自分の生み出したアイデアと恋に落ちるのを避け、顧客と共に問題を解決するという行為と恋に落ちてください、とMason氏は述べています。

一方で、「会社の名前」「ロゴ」「ウェブサイト」「メールリスト」などはお金を生み出すことに関係がなく、ビジネスを始めた当時は定まっていなかったとのことです。

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in メモ,   ソフトウェア,   ウェブアプリ, Posted by darkhorse_log

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